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夏の電力不足対策に2週間の疎開と週1万円のボーナスを提案

 心配される夏の電力不足。東京電力は計画停電で乗り切ろうとしているが、果たして有効なのか。元通産官僚で行政改革担当大臣補佐官も務めた原英史・政策工房社長はオイルショックの時の経験は通用しないと警鐘を鳴らす。

 * * *
 当面の電力不足に対し、真っ先に叫ばれているのが節電のための「ネオン自粛」や「深夜営業自粛」。震災以降、首都圏の街はすっかり薄暗くなった。

 こうした対策にすぐ目が向くのは、70年代のオイルショック時の“経験”が大きいと思われるが、ピントが外れている。

 オイルショック当時は、「民間における石油及び電力の使用節減のための行政指導等要領」(昭和48年11月事務次官等会議申し合わせ)に基づき、「広告用装飾用照明等の点灯時間の短縮」「深夜飲食店等の終業時間の繰り上げ」などの指導がなされた。翌年には、電気事業法27条に基づき、強制的な電気使用制限も実施された。

 節電のための規制は、実は当時のまま。オイルショック時に定められた「電気使用制限等規則」は今も有効で、経済産業大臣が期間と時間さえ指定すれば、「広告灯、電飾、ネオンサイン、ショウウィンドウ用照明設備」の電気使用制限を実施できる(第3条)。

 だが、この夏に向けての対策として、「夜のネオン制限」は無意味に近い。当時と現在では状況がまるで違うからだ。

 日本では昭和40年代初頭までは、エアコンの普及率がまだ低く、電力需要のピークは「冬の夕刻」だった。オイルショックの少し前に夏・冬逆転し、その後、「夏の日中」のピークが先鋭化した。この夏、電力不足が見込まれるのは、午後1~3時という冷房使用のピーク時間帯であって、夜間は余力がある。ネオンを消す必要はないのである。

 しかも、オイルショックの時は、問題は原油高騰による燃料不足であり、「電力使用の総量」を減らすことが命題だった。現在は、震災で発電量が下がっているが、燃料不足ではないので「ピーク時電力」を抑制すればいい。時代遅れで実情に合わない規制は経済活動を阻害するだけだ。

 家庭ではどうか。政府は「家庭で15~20%抑制」と目標を掲げている。だが、猛暑でエアコンを使わないのはつらい。

 いっそのこと、2週間でも首都圏を離れて「疎開」するのが最善の節電策かもしれない。全員ができるわけではないが、例えば、「夏の間に2週間以上、ブレーカーをおろして疎開する」とした家庭には、期間分相当の基本料金免除に加えて、週1万円のボーナスを出すぐらいのことをしたらどうだろうか。つまりは「負の料金」だ。

「電気使用を抑制するために、電気料金を値上げ」という話もあるが、「疎開奨励料金制度」の方が納得感があろう。

 だが、ここでも障害になるのが、電気事業法の規制。電気事業法19条で、電気料金は「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」でなければならないと定めている。このため、「負の料金」の設定はまず認められない。

 エネルギー問題に詳しい中上英俊・住環境計画研究所代表取締役所長はこう指摘する。
「今回の問題が一段落したら、エネルギー政策の抜本改革が必要だ。さらに、エネルギーセキュリティとして電力、ガス、石油のベストミックスをどうすべきなのか、産業再編まで視野に入れた検討が望まれる」

※SAPIO2011年5月4・11日号

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