試合でピッチを走り回る「なでしこ」たち。だが、彼女たちに負けず劣らず注目を集めているのが、解説者の大竹七未さんだ。美白にネイルに、たっぷりすぎるアイメイク。「この人、本当にサッカーやってたの?」と突っ込みたくなるところだが、作家で五感生活研究所の山下柚実氏は、この女子会ファッションは、彼女の「戦術」だと見る。
* * *
オリンピック出場を決めた「なでしこジャパン」。厳しい試合を重ねながらも、着実に勝利の階段を上がっています。芯の強さとブレない戦いぶりに、あらためて魅せられた人も多いのでは。
ピッチ上の選手たちの活躍もさることながら、頻繁に登場する、ある解説者の存在に注目が集まっています。
その人とは、東京国際大学サッカー部監督の大竹七未さん。選手時代のポジションはフォワード。日本女子サッカーのOGとして、今やテレビ各社のサッカー解説にひっぱりだこです。
視聴者は、まずその肌の白さに、「この人、本当にサッカーやってたの?」と驚かされるでしょう。ピッチで日焼けした痕跡は皆無に見える美白肌。そして、かわいらしいそのビジュアルは、芸能人顔負け。
大きなイヤリング、ネイルした指、たっぷりすぎるアイメイク、ヒラヒラのチェニック、胸元で光るスパンコール……。大竹さんの「今どきの女子会ファッション」は強烈なインパクトを放っています。
彼女のサッカー解説は的確で分析的で信頼感があり、サッカー観戦をより楽しくしてくれる。ただ、解説内容もさることながら、どうしてもインパクトの強い姿・形に目が行ってしまう人も多いのでは。
ネット上では「化粧が濃い」「ファッションが派手すぎ」「若作りしている」といった批判も飛び交っていますが、それは表層的な見方かもしれません。
あそこまで入念に作り込んだ姿で発信しているのは、「女子サッカーはあなたの遠いところにあるのではない」というメッセージだからです。
付けまつげ、マスカラ、ひらひらチェニック姿は、若い女性たちに「身近な感覚」を抱かせる効果、バツグンです。
つまり、大竹さんの「今どき」ファッションやメイク姿は、女子サッカーを「厳しくストイックでありつつも、楽しくて自由で格好いい」ものとしてひき寄せる、戦術なのではないでしょうか。そうなれば、次々に「私もやりたい」と才能ある女の子が出てくる公算大です。
オシム元日本代表監督は、「サッカーは、バランスを保つために水を運ぶ役割をする選手が必要だ」と名言を残しました。大竹さんはまさしく、これまでマイナーだった女子サッカーと、お茶の間・若い女の子との間に、「水を運ぶ」役割を果たしているのです。
なでしこがW杯で勝った時、大竹さんは言いました。「女子サッカーがもっと広まってほしいという気持ちで活動してきた。とても嬉しい」。
女子サッカーを愛し、本気で「広げたい」という思いを抱き続けてきた人だからこそ、入念なメイク戦術をとっている。そう私は読み解きます。がんばれ、なでしこジャパン。もっとやれ、大竹七未!