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完全予約制「スカイツリー」体験自慢話に上手に付き合う方法

 今月22日にいよいよ東京スカイツリーが開業する。とはいっても当分は完全予約制で、頑張ってチケットを入手した人しか上れない。「スカイツリー」自慢する人への大人の対応とは?大人力コラムニスト・石原壮一郎氏が語る。

 * * *

 5月22日午前8時、いよいよ東京スカイツリーが開業します。自立式電波塔として現在のところ世界一の高さ634メートル。開業から7月10日までは日時指定の完全予約制で、いち早く“世界一”の眺望を体験できるのは、あらかじめチケットを入手したりツアーなどに申し込んだりした気合十分の人たちだけです。

 開業後しばらくは、せめて外からでも見たいという人も押しかけて、周辺が大混雑するのは確実。しかし、そんなたいへんな時期に、あえて好き好んで、いろんな苦難を乗り越えて勇んで訪れて、「いやあ、スカイツリーにのぼってきたよ」と自慢げに言い出す人が、あなたのまわりにもきっと現われるでしょう。

 あなたが、そう聞いて素直に「うわー、いいなー」と思えるタイプの場合は、何の問題もありません。どんな景色だったかなど、感想を根掘り葉掘り尋ねれば満足してもらえます。しかし、もしあなたが、反射的に「なんて物好きな……」「何とかと煙は高いところに上るって言うけど……」と思ってしまうタイプの場合は、細心の注意が必要。まさか、率直な気持ちを口にするわけには行きません。

 ここは大人のやさしさの見せどころであり、大人力を鍛えるチャンスです。「どうでもいいよ」という本音を押し隠して、わざわざ開業直後にのぼって得意の絶頂にものぼっている相手の期待に応えてあげましょう。

「よくチケットが手に入りましたね」と驚いたり「どのぐらい混んでましたか?」と尋ねたりするのは、ほんのオードブル。こんなに苦労したという話でも、思ったほどでもなかったという話でも、とりあえずは「さすが○○さん」と持ち上げます。

 メインディッシュは、地上450メートルの「天望回廊」の話題。ちなみに、事前購入の場合、「天望回廊」まで行くには合計3500円かかります。それだけ払う度胸はたいしたもんですが、「3500円分の値打ちはありましたか?」などと聞くと、呆れている本音が漏れてしまいかねません。

 お金の話題は避けつつ、大人としては「グルグル回って頂上に到達するんでしたっけ。ガラス張りのソラカラポイントはやっぱりキレイでしたか?」が模範的な質問。けっこう詳しいところをチラッと見せることで、うらやましがられている錯覚を抱かせたり、人より早く訪れた特権意識をくすぐったりできます。

 おそらく、10人中7,8人は、さんざん自慢げに語ったあとで、「いやあ、ひどい目に遭ったよ」とか「たいしたことなかったよ」といった愚痴っぽいセリフを口にするでしょう。そしたらすかさず「それって、行った人しか言えないセリフですね。コノコノー」と冷やかすのが、仕上げのデザートです。

 相手を思いっきり舞い上がらせて、その様子をながめることで、東京スカイツリーにのぼった以上の爽快感を味わえるはず。仮にホントはちょっとうらやましかったとしても、悔しさを紛らわせることができます。

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