今年もセンター試験の出願が締め切られた。大学入試センターの集計によると、685大学、161の短大が参加し、合計過去最高の846校が参加する。出願総数は53万6,334人(うち、現役生44万1,635人、既卒生9万4,699人)。
締め切り当日の消印を集計した最終的な出願数は11月末に発表される予定だが、少子化が進むなか、例えば18歳人口が約206万人だったベビーブーム世代が受験した1992年のセンター試験志願者が47万2千人だったことを考えると、いかに受験者が増えているかがわかる。(※1994年生まれは約123万人)
この背景には、国公立大や私立難関大を中心に、AO・推薦での募集枠の縮小が少なからず関係しているというのは、神奈川県にある予備校講師だ。
■AO・推薦入試の意味合いの変化
文部科学省の調査によると、AO・推薦での入学者は、私立大学では過半数 、国公立でも2割に迫るという(2011年度)。AO・推薦入試は通常一般入試に先駆けて行われるため、大学側には早いうちに生徒を確保できるというメリットがある。受験生にしても一般入試の前にチャレンジするチャンスであり、こちらも早期に進路を決められるため、人気だ。
しかし前出・予備校講師は、「AO・推薦入試の意味合いが異なってきている」ことを指摘する。
「以前は、AO、推薦入試というと、“(何かのコンテストで1位など)一芸に秀でた”とか、推薦でも“欠席もなく、部活動でも優秀な成績を残し、さらに学校内での成績がトップクラス”といった優等生の印象が強かったものですが、徐々に“学力と関係ない、ラクな試験”と捉えられている傾向になりました。学校での成績が“普通”レベルで、目立った欠席数というほどでもない子なら、自己推薦文と面接さえ上手くこなせれば合格というケースも」
それを問題視した文部科学省は、2011年度からAO・推薦入試に関する規定を変更。基礎学力重視の路線にシフトしつつある。