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信用取引の規制緩和で詳しい銘柄を1日に何回でも取引可能に

 いよいよ1月から、株の信用取引で同一資金で1日に何度でも売買が可能となる規制緩和が始まる。証券会社が適切にサポートし、個人投資家が上手に活用すれば、日本の株式市場の活性化につながると期待されている。その規制緩和の内容と影響について、信用取引に注力することで知られるネット証券大手、岡三オンライン証券の池田嘉宏社長に聞いた。

─―まず、規制緩和の内容を教えてください。

池田:従来、株式の信用取引では、委託保証金が1日に1回の売買にしか使えませんでした。それが規制緩和によって同日中の委託保証金の再利用が可能となり、同じ保証金で1日に何度でも売買ができるようになります。

─―FX(外国為替証拠金取引)に近いイメージですね。

池田:そうなんです。具体的に説明しましょう。例えば、300万円分の建玉を決済した場合、その保証金90万円が余力に組み入れられるのは翌日でした。つまり翌日にならないとその資金は使えなかったのです。規制緩和後は、決済した建玉の保証金をすぐ次の取引に使えるようになります。FXのように、個人投資家の資金効率が高まるわけです。

─―1日に何度も売買をするトレーダーにとっては、待ちに待った規制緩和ですね。

池田:証券業界では、株式市場の活性化につながると期待しています。売買高が増え、市場への注目が高まれば、株価の上昇や経済の活性化といった効果にもつながるかもしれません。

─―個人のトレードスタイルに変化は出そうですか?

池田:今でも豊富な資金があれば複数回売買する対象は同一銘柄でも可能です。しかし、規制緩和された後は、限られた資金でできます。業績や値動きなど、自分が詳しく知っている銘柄で1日に何回もトレードすることが可能となります。

─―それは、勝率をアップさせる大きなチャンスですね。FXと違って、株は銘柄数が非常に多い。ビギナーは、まずどの銘柄を選んでいいかで迷ってしまいます。そしてひとつの銘柄に詳しくなったとしても、1日に1回の売買しか行なえない資金では売買チャンスが限られてしまう。規制緩和でそのチャンスが増えると。

池田:株式市場には、トヨタやソフトバンクなどが上場されています。しかも、新聞やテレビなどで、そうした企業のニュースが自然と耳に入ってくるので、最近の動向などはある程度知っているものです。まずは、そうした銘柄から投資をしていくことが良いのでは。

─―確かに、FXは取引する通貨は少ないですけど、なじみのない国の通貨を取引する場合は情報を集めるのに苦労するかもしれませんね。

池田:FXとの違いはまだあります。FXのレバレッジは25倍ですが、株の信用取引の保証金は売買代金の3分の1弱ですので、レバレッジにすると約3倍。投資ビギナーの方も気軽にはじめやすいかもしれません。

 今は、株式の売買単位も引き下げられており、少額での投資できる銘柄は飛躍的に増えているので、10万円、20万円といった金額で、いろいろな銘柄を信用取引で売買することができるはずです。

※マネーポスト2013年新春号

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