「ゆるキャラグランプリ2013」が終わり、栃木県佐野市のご当地キャラ「さのまる」がグランプリに輝いた。エントリーしたキャラは1500超だが、順位がそのままキャラの魅力ではない。たとえば1356位に終わった「魔界帝王デスカイザー」は「ゆるくない」とネット上で評判だ。
『ゆるキャラ論』(ボイジャー刊、共著)著者でキャラクター研究家の犬山秋彦さんも、デスカイザーとその手下、1528位の「ブレーメン」は気になる存在だったという。
魔界帝王デスカイザーと手下のブレーメンは、ハロウィンの日、愛知県知多半島にある武豊町民会館ゆめたろうに現れるキャラクター。専門業者に制作を依頼した着ぐるみのゆるキャラが多い中、段ボールなどを利用して職員の黒野雅直さんが手作りした。
「ハロウィンの由来などをデスカイザーとブレーメンが寸劇で説明し、そのあと子どもたちにお菓子を配ります。小さい子だと泣かれちゃうこともありますが、小学生からは喜んで一緒に写真を撮らせてくれとお願いされますよ。3年連続で登場したのでグランプリにエントリーしてみました」(黒野さん)
魔界帝王らしくデスカイザーは強面、ブレーメンはちょっと気弱で帝王に怒られてばかりだが、二人とも子ども好きで実はいいヤツなのだそうだ。来年のハロウィンにも現れるかどうかはわかっていない。
デスカイザーとブレーメンのように手づくり感があふれるキャラクターは珍しくなったものの、ふなっしーが人気者になって以降、自治体や企業だけでなく個人でも気軽にゆるキャラを制作、名乗るケースが増えていると前出の犬山さんはいう。ただし、現在のゆるキャラ界で人気を得て、グランプリを獲得するにはまるで選挙のような”政治的”活動が必要なのだそうだ。
「今回、グランプリで上位に入ったキャラクターのほとんどは行政が関係しているゆるキャラです。行政キャラの特徴は、組織的に投票数を増やしやすいということ。たとえば『ちっちゃいおっさん』はテレビにもたびたび出演し人気がありますが、組織票を固めづらいため48位に終わっています」
ただし、グランプリをとるキャラクターは組織票だけでなく広い人気も得ているのが特徴だという。