ビジネス

冷たいのどごし以外を味わう「ビールの奥深さ」開発者が熱弁

ビールの奥深さについて熱弁する田山智広さん

 酒税法改正で日本にもクラフトビール文化が生まれて約20年。いまは第2次クラフトビールブーム到来と言われるが、大手メーカーによるビールへの影響は小さかった。ところが、最近は大手メーカーからも個性的なビールが登場し始めている。その代表格と言われる「グランドキリン」開発に携わった、キリンビール株式会社・商品開発研究所所長の田山智広さんに話を聞いた。

「これまでの日本のビールは多くがピルスナータイプでしたが、20年前に酒税法が改正され小規模な醸造所が増えて以降、エールやヴァイツェンなど様々なスタイルのビールが造られるようになりました。ところが、肝心の品質は玉石混淆だったので、その頃のブームで初めてクラフトビールを飲んだ人は、美味しくないものとして記憶してしまったかもしれません。でも、最近のクラフトビールはどれも本当に美味しいんですよ」

 各地に個性的なビールを扱う専門店が増え、ビールを楽しむためのイベントが一年中どこかで開催され、いずれも大盛況だ。ビール市場全体をみても、プレミアムビールのジャンルが好調だ。

「個性的なものを求める人たちが集まる傾向がありますから、専門店やイベントで飲まれているものはとても個性が強いビールです。また、日本でプレミアムビールというとアルコール度数が強めで味が濃いというイメージがありますが、ビールの世界はもっと大きなものです。その豊穣な世界の魅力をぜひ、多くの人に知っていただきたいですね。たかがビール、されどビールで奥が深い世界です」

 たとえば、ビールは凍りそうなほど冷やして「のどごし」を楽しむ飲み方に人気が集まっているが、実際にはもっと様々な味わい方がある。たとえばロンドンのパブでよく飲まれているエールタイプのビールの場合、香りを楽しむため常温で提供されている。

「キンキンに冷やすだけがビールの美味しい飲み方ではありません。香りを楽しむようなビールの場合は、あまり冷やすと香ってこなくなります。

 飲み物の香りは、グラスに鼻を近づけたときふわっと立ち上がってくる香りと、飲んだときの戻り香の2種類があります。ビールの場合は泡があるので後者の方、戻り香の方が強く感じられます。香りは温度によって変わり、量が減るので冷やしすぎは避けた方がよい。赤ワインの楽しみ方を思い浮かべてもらえるとイメージしやすいかと思います。ビールでも種類によっては、赤ワインのような楽しみ方ができるんですよ」(前出・田山さん)

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン