たとえば「グランドキリン・ジ・アロマ」のように香りが強いタイプのビールは、冷凍庫に入れるような冷やし過ぎた飲み方は避けてほしいそうだ。エールと同じ上面発酵酵母によりつくられているので、華やかな香りが楽しめるからだ。日本人にとって馴染みが薄いタイプのビールだが、コンビニエンスストアで気軽に買えることで、「のどごし」で味わうビールしか知らなかった人たちの手にも行き届きやすくなった。
「個性が強いだけでは一部のマニア向けになってしまう。個性が楽しめて、かつビールに期待する味覚イメージから外れすぎないように。普通のビールとは違う、でも美味しいと思ってもらえるバランスがとれたものを目指してチャレンジした結果生まれたのが『グランドキリン』でした。
『グランドキリン』が受け入れられたことで、メーカーにとってのビールの幅が少し広がったなと感じています。冷たい「のどごし」で味わう美味しさもありますが、それ以外の美味しさもビールにはふんだんにあります。ビールの楽しみ方の新しい選択がコンビニで、250円でお釣りがくる手軽さで簡単にできるのはとてもいいことだと思うんです。これからも、そういう選択肢は増やせれば増やしていきたいです」(前出・田山さん)
ドイツ語にはビアライゼ(ビールの旅)という言葉があるそうだ。かつては専門店や、醸造所がある土地へ旅に出なければ味わえなかったビールの旅だが、「グランドキリン」のようなビールがあるおかげで、今ではコンビニ利用でも同じ気分が味わえる。今週末は、ゆったり自宅で小さな旅行気分を楽しんでみてはどうだろうか。