サムスンやホンハイに押され気味なイメージの強い日系の家電メーカーだが、人口が増え、経済発展を続ける新興国を中心に、「日の丸家電」の存在感が増している。定評のある技術力と細かなニーズへの対応力が現地の消費者に支持されているのだ。
●冷蔵庫
とくに暑い地域では冷蔵庫への期待が高い。その土地に合わせた冷蔵+αの機能が功を奏している。
熱帯のインドネシアでは食材を冷蔵することは少なく、水を入れておくという利用法が大半。パナソニックは現地住民の冷蔵庫に、飲料用に煮沸しペットボトルに入れた水とボウルに凍らせた氷しかなかったことに注目し、ペットボトルが13本も入る小型冷蔵庫を発売。同国のグッドデザイン賞を受賞している。
地域性に応じてパナソニックが投入する冷蔵庫も変わる。サッカー観戦やパーティが多い南米ブラジルでは短時間でビールが冷やせ、ギリギリ凍らない冷蔵庫を発売。瓶ビールなら1時間、ワインなら40分ほどで冷え、冷やしすぎ防止アラームも付いている。
アフリカや中東では、日立アプライアンスがタンク式の製氷機と冷水機を前面に搭載した冷蔵庫を開発。「いつでも衛生的で冷たい水が飲めて便利」と好評だ。
●掃除機
中東の大邸宅向けの掃除機は日本仕様とスケールが違う。パナソニックがサウジアラビアで発売している掃除機は、日本の10倍以上である20リットルの大容量を誇り、「砂漠の砂を大量に吸い込んでも故障しない」という謳い文句で好評だ。
※SAPIO2016年6月号