仕事で制服の帽子やヘルメットをかぶっていると、男のカッコよさは3割増になる、なんていわれる。誇らしい気持ちになるものの、「脱帽したら、頭ががっかりだね」と囁かれることもしばしば。がっかりされるのは着帽によって帽子内環境が過酷なせいだとわかっていても、プライドにかけて着帽が必要な仕事は辞められない。そんな彼らのための斬新すぎる社内サポート制度「着帽手当」が始まった。
「着帽手当」とは、頭皮ケアブランド「CLEAR」が提唱する新しい社内サポート制度。企業が、男性と女性それぞれの頭皮と毛髪の特性に合った頭皮ケアシャンプー「CLEAR」を専用サイトを通じて特別価格で購入し、帽子やヘルメットをかぶって働く社員に業務を補助する特別手当として定期的に支給する仕組みだ。
「仕事がらヘルメット着用は必須です。暑くて蒸れても絶対です。頭皮ケアシャンプーは使ってみたいと思っていたので、この制度はありがたいです。父も同業で、30歳くらいから生え際の位置が変わってきたから、自分も危険かなと思っています」(27歳男性、建設業)
「クーラーは入っていますが、火を使う厨房は一年中、蒸し暑いです。衛生管理のためにも、もちろん帽子をかぶっています。帽子の形に髪が変形するのがすごく気になります。髪は印象を大きく左右するから、手入れをしたほうがいいですよね。でも、いかにも髪を気にしているとわかるシャンプーを買いに行くのは、ちょっと恥ずかしい。もし『着帽手当』があれば、すごく助かります」(39歳男性・飲食業)
「帽子をかぶっての夏の業務は、正直なところこたえます。でも、この帽子でお客さまが安心される面もあると思うので続けたいので、何か対策をと考えていました。『着帽手当』はうらやましいですね。女性に比べて男性は、髪をいたわるための情報共有とか少ないので、制度があるとお互いに話しやすくなるのではないでしょうか。自分の勤務先でも検討してもらいたいです」(29歳男性・ホテル業)
20~60代の仕事時に着帽している人々を調査したところ、71.6%が帽子をかぶると「頭皮や毛髪に何らかの負担がある」と思い、56.7%が「対処が必要だと思う・対処している」と答えている(※調査委託先 楽天リサーチ株式会社)。彼らの帽子の中の過酷な頭皮環境が、どれほど過酷なのかは、「着帽手当」のスタートと同時に公開されたステートメントムービーを見ると、わかりやすい。
「通勤電車で、自分の隣にいたはずの女性が遠ざかって別の場所へ移動したことがあって、すごくショックでした。それ以来、身だしなみには気をつけています。抜け毛、フケ、ニオイ、そのうちのどれかが原因じゃないかと考えて、着替えや制汗剤などを用意して気をつけています。頭皮ケアシャンプーが欲しいと妻に話したところ、家族と違うものをわざわざ買うのを嫌がられたので『着帽手当』のような制度があると助かります」(38歳男性、製造業)
かつて会社の福利厚生といえば、社員旅行や保養所の設置運営など、従業員に非日常を提供するものだった。しかし最近では、日常の生活の質を高めるサービスやモノを提供することが福利厚生の一環だととらえる企業が増えている。「着帽手当」は働く男の「誇り」を守れるか。