投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が12月19日~12月23日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は底堅い動きが続きそうだ。米連邦準備制度理事会(FRB)は13-14日に開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で1年ぶりの利上げを決定したが、利上げペースは年2回から年3回に修正されたことから、リスク選好的なドル買い・円売りがやや優勢となりそうだ。ドル・円の取引では心理的な節目である120円や2016年の高値121円69銭が意識されるだろう。
利上げは株安要因となるが、米国株は利上げペース加速への期待が広がるなかで底堅い値動きとなっている。このため、何らかの理由でドル売りが強まる局面でも株価が下げ渋ればドルはサポートされる可能性があろう。また、米長期金利が上昇基調にあることもドル買いを支援する手がかりとなりそうだ。
ただ、19-20日に開かれる日本銀行金融政策決定会合では金融政策の現状維持が見込まれており、ドル・円相場を押し上げる材料はほぼ出尽くしていると言えそうだ。逆に、11月8日の米大統領選から1カ月あまりで101円20銭から118円台後半までドルは17%上昇しており、異例の上昇ペースとなっている。日銀金融政策の現状維持が決まった場合、クリスマス休暇に入る投資家の間で利益確定を狙ったドル売りが増える可能性がある。
なお、トランプ氏は米大統領選の選挙期間中にドル高政策を批判していたものの、当選後は為替に関しては特に言及していない。来年1月20日の大統領就任まで為替について一言も触れない可能性はあるものの、トランプ氏のドル高けん制発言に対する市場の警戒感は高まっている。
【日銀金融政策決定会合】(19-20日開催)
日銀は20日昼ごろに金融政策を発表し、同日15時半から黒田東彦総裁が記者会見する。2016年の最後の重要イベントだが、金融政策の変更は見込まれておらず、ドル買い・円売りの要因にはなりにくい。
【米・11月PCEコア指数】(22日発表予定)
22日発表の米11月コアPCEは前年比+1.8%となる公算。上昇率は10月実績をやや上回ると予想されている。インフレ目標の+2.0%に達しない見通しだが、8月以降の持ち直しが好感されれば、利上げペース加速への期待が高まり、ドル買い材料となる。
【予想レンジ】
・米ドル/円:116円50銭-120円50銭