「ストーカーって何でもやるんですよ。書類を偽造して住民票を閲覧するとか、役所のパソコンをのぞこうとするとか、普通だとやらないことをやる。そして、執着している対象の情報にはものすごく目ざとい。警察の人って、つきまといの注意をストーカーにするとき、被害者の住所氏名が書かれている書類を無造作にそのへんに置いたりするんだよ。その隙をストーカーは見逃さない。せっかく引っ越したのに、それで新住所がバレて、また引っ越しした女の子がいる。それも一人じゃない。どうして被害者ばかり負担がかかるのかと思うよね」
警察の無頓着なふるまいがきっかけで住所が漏れた件については、担当者から口頭で謝罪はされたが、表向きには「起きていない」ミスになっているそうだ。被害者は納得していないが、ストーカーによる被害がまだ続いており、同じ担当者に引き続き世話になる可能性を考えると、漏洩経緯を調べてくれと言えないまま今に至っている。
全国の警察が2016年に把握したストーカー被害は2万3737件。前年は4年ぶりの減少が再び増加した。警察では「相談しやすい体制になっているから」と増加の分析をしているが、実際に相談へ向かった女性たちにきくと、小金井の殺人未遂事件がきっかけだという声が少なくない。そして、実際に相談に行くと、被害者と認めてもらえるのにとても苦労すると声をそろえて訴える。
確かに警察の体制は整っているのだろう。だから、彼女たちも相談窓口があることを知っている。しかし、肝心の相談内容が整っていないのでないか。ストーカーの異常な思考と行動パターンは、被害者だけに抱え込ませるのではなく、危ない犯罪の前触れとして、せめて犯罪捜査や治安維持のプロには広く共有してもらいたいものだ。