テレビアニメ『タッチ』の浅倉南や、劇場版アニメ『となりのトトロ』のサツキなどで、はつらつとした声を印象づけた、声優・女優・ナレーターの日高のり子さん(55才)。それぞれ20代で演じた役だが、今もその声音や滑舌のよさは変わらない。その秘訣は、筋トレやヨガ、ストレッチなどさまざまな健康法のおかげだとか。
トレーニングを始めるきっかけになったのは、30代で感じた声の変化のせい。
「ある日、前より高音の伸びがないことに気づいてボイストレーニングの先生に相談したんです。その時すすめられたのが筋トレでした。先生曰く、“声帯を支える筋肉が衰えると声の張りも落ちる”そう。ならばと、筋トレをしつつ、硬くなった体をほぐして血流を整えることにしました」(日高さん、以下「」内同)
当時の日高さんは子育て真っ只中。自分のことは後回しになり、背中にぜい肉が増えたことにも気づかなかった。
「当時は年とともに声が衰えるのは仕方がないとあきらめていましたが、声の老化は止められるって知り、希望が湧きました」
早速、筋力をつけるトレーニングを開始。テレビを見ている間、手を後ろに置き、肩甲骨を寄せる姿勢を続けた。これだけでも1時間ほど続けると汗が流れ、かなり効いたという。また、首まわりの血流が悪くなると声の出が悪くなるからと、頭上で手を組み上にまっすぐ腕を伸ばしてから下げるというストレッチで首や肩の凝りもほぐすなど、すき間時間はストレッチを習慣化させた。さらにドローインやヨガ、鍼灸治療も始めたおかげで、半年後には声の調子が戻ったという。
「今の方が30代の時より声の張りはいいと思います(笑い)」
最近は、口まわりの筋肉を鍛える滑舌トレーニングも実践中。
「入浴中に、“ぱぴぱぴぷぺぷぺぱぴぷぺぽ”など、言いにくい言葉を、最初はゆっくり、次第にスピードを上げて繰り返しています。これで口の周りの筋力がつくと、リフトアップも期待できるんです」
ただしここでポイントが。これらのトレーニングはすべて、「疲れたらやめる」、「気がついた時に行う」、「がまんしない」の3原則をもとに、無理をしないで行っているんだそう。
「気持ちと声ってつながっているんです。だから私は、ストレスをためないようにしています。リラックスしている時、息を吐くように出す声が、自分も楽だし、人にも聞き取りやすいものですから」
ストレスがたまった時こそ明るい声を出すようにすると、気持ちもその声に引っ張られ、元気がわくのだそう。
「仲のいい人とたくさんしゃべる、カラオケで思いっきり歌う、好きな曲をハミングするなどもおすすめです」
【プロフィール】日高のり子(ひだか・のりこ)/声優をはじめ、女優、ラジオパーソナリティー、ナレーターなど幅広く活躍中。代表作はテレビアニメ『タッチ』の浅倉南、『らんま1/2』の天道あかね、劇場版アニメ『となりのトトロ』のサツキなど。
※女性セブン2018年3月1日号