ビジネス

市販の歯ブラシを「電動化」するアイテムの開発ストーリー

音波振動アシストアタッチメント『ソニックオール』

 スーパーの売り場一角を占めるほど数多くあるオーラルケア商品。特に歯ブラシは手磨き用から電動まで種類が豊富。そんな中、市販の手磨き用歯ブラシを電動化する商品が誕生した。手磨き用と電動のいいとこ取りをした音波振動アシストアタッチメント『ソニックオール』とは?

 大作商事の社長・大作一平さん(57才)はアイデアマンだ。輸出入業で扱う世界各国の商品から得たヒントや、日常生活の中で見つける不満をもとに、首からかける空気清浄機や電気不要の真空調理パックなどユニークな商品を開発している。そんな中、大作さんの目に留まったのが“歯ブラシ”だった。歯ブラシには手磨き用と電動の2つのタイプがある。しかし、どちらにもメリットとデメリットがあることに気づいた。

 手磨き用歯ブラシはブラシの硬さや形などいろいろなタイプがあり、自分に合ったものを選ぶことができるが、10~15分と時間をかけて、しっかり磨くことが推奨されている。一方、電動歯ブラシは磨く時間が短縮でき、効率がいいものの、ブラシヘッドの種類が少ない、価格が高い、替えがスーパーなどで手に入りづらいといった不便さから長続きしない人が多くいる。そこで、大作さんは、手磨きと電動のいい部分を組み合わせた商品を作れないか?と思い、2013年に『ソニックオール』の開発を始めた。

『ソニックオール』は市販の手磨き用歯ブラシを本体に差し込み、調整ダイヤルを回して固定し、電源を入れると約2万4000回/分音波振動する。一見、シンプルな作りにみえるが、細かな部分まで工夫が施されているという。

「子供や被介護者など、他人の歯を磨くときのことも意識していろいろなサイズに対応できるようにした」と話す大作さんは、子供用から大人用、歯間ブラシなど、いろいろなタイプの歯ブラシに対応するにはどうしたらいいか考えた。まず、ハンドルが細いものから太いものまで市販の歯ブラシのサイズを計測。サイズに合わせて調整できるように本体上部にワイヤーを装着した。また、下部には調整ホルダーを付け、高さも調整できるようにした。

 幅を調整するダイヤルは試作中、平らな形状をしていたが、水に濡れると回しづらく、女性の力では扱いづらいという問題が発生。凹凸を作り、滑りにくくし、女性でも回しやすい形状にした。また、モーター部分は市販の電動歯ブラシの振動数と遜色がないよう配置にこだわったという。こうして約3年間の試行錯誤を繰り返し、『ソニックオール』が完成した。

 2017年2月に販売を開始すると、市販の手磨き用歯ブラシが電動歯ブラシ化するという他にはない珍しさから注目を受け、口コミで広がった。

 自分の歯に合う歯ブラシを使うことができ、1台あれば、家族で共有して使える『ソニックオール』で、健康的な歯を目指してみてはいかがだろう。

※女性セブン2018年3月15日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

5月8日、報道を受けて、取材に応じる日本維新の会の中条きよし参議院議員(時事通信フォト)
「高利貸し」疑惑に反論の中条きよし議員 「金利60%で1000万円」契約書が物語る“義理人情”とは思えない貸し付けの実態
NEWSポストセブン
殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン