樋田容疑者は「日本一周中」と書かれた紙を堂々と自転車に貼り、途中からは香川県内の道の駅で声をかけた男性と同行していた。四国全県では、お遍路のような姿で旅していたというから、彼を不信に思う人はいなかったのだろう。さらに、樋田容疑者は自転車だけでなく、バイクも盗んだという情報もあった。金を持っていなくても、逃げるなら自転車よりバイクだろう。そうしたステレオタイプのイメージが、警察や世間に出来上がっていたと思う。そのため、そのイメージの範疇から大きく外れる外見と行動を取っていた樋田容疑者に、誰も疑いの目を向けなかったのだ。

 そして、もう1つ考えられるのは、「正常性バイアス」の影響だ。これは危険や災害を過小評価し、楽観的に考えて、自分は大丈夫と思ってしまう認知的な偏りのことである。例えば、異常気象で避難を呼びかけても、自分だけは大丈夫と思って逃げ遅れてしまうのはこのバイアスによるものだ。この事件では、犯人が逃げたのは大阪府富田林市。その周辺ならいざ知らず、連日メディアが報じる情報からしても、四国や山口にまで逃走犯が来るわけがないだろう。樋田容疑者に出会った人々にとって、彼の逃走は自分とは関係のない事件に思えていたのではないだろうか。

 そういう私も、これらの認知的な偏り持ったまま、この事件を見ていた1人。裏をかかれた。

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン