「希望する施設だけに配ると聞いていたのに、いきなり2箱も『アベノマスク』が送りつけられてきたんですよ」
戸惑いながらそう話すのは、和歌山市内にある介護施設の施設長だ。
約260億円をかけて全世帯に各2枚、計約1億3000万枚が配られた「アベノマスク」。評判は散々だったが、騒動はまだ続いていた。
全世帯配布分とは別に、政府は介護施設等に累計約6000万枚を配布してきた。さらに、7月末には施設を対象に追加で約8000万枚の配布を発表。さすがに批判が噴出し、一律ではなく「希望する施設のみ」に配ると方針転換していた。前出の施設長が続ける。
「うちの施設にも8月6日深夜に市の担当部署から希望を募るFAXが届いていました。前回、送られてきたマスクは小さくて使い勝手が悪く、誰も使っていません。だからスタッフとも“追加分はいらないよね”と話していた。それなのにFAXが送られてきた当日、厚労省からマスク2箱が届いたんです」
希望していない施設に、マスクが送りつけられてきたというのだ。FAXの送信元である市の担当課は、「事実関係がわからない」とする。
「8月頭に厚労省から市に対して、介護施設等から配布希望を募るという通知があった。市はあくまでその周知をするだけで……詳しくは厚労省に聞いてもらえませんか」