年末年始のテレビを制したのは間違いなくこの男、東京五輪柔道金メダリストのウルフ・アロンだった。各局のバラエティ特番にゲストとして引っ張りだこだったが、多忙の合間を縫って元日に訪れたのは日本武道館。言わずと知れた柔道の聖地だが、この日の目的はプロレス観戦。人気団体「プロレスリングNOAH」の興行にゲスト解説として呼ばれたのだ。
プロレスファンだというウルフは終始興奮した様子。悪役レスラーから挑発されると「一瞬行こうかと思いました」「柔道着をお願いします」と応答し、プロレス転向について聞かれると、「柔道引退するまで待ってください」「そのままリングネームみたいな名前ですからね、一切変える必要がないですから(笑)」とリップサービスを交えて前向きなコメント。SNS上ではプロレスファンから「マジでプロレスのマットに上がってほしいわ」などと熱望の声が相次いだ。
格闘技ライターの堀江ガンツ氏は、ウルフの将来的なプロレス転向に期待を込める。
「現役の格闘家がプロレスの解説をするのは、ジャンルや競技の違い以外にもデリケートな部分があり、何かと難しい。しかしウルフはプロレスに対するリスペクトを持ちつつ、時にユーモアを交えたコメントをしてファンを唸らせました。
アスリートとしての能力はもちろんですが、現在のプロレスにおいてはリング外での発信力や自己演出の能力も重要視されています。今プロレス界ではヘビー級のスターが求められており、ウルフならプロレスに興味のない世間へのアピール力も申し分ない。次に目指しているパリ五輪後に、ぜひリングで戦うウルフ選手の姿を見てみたい」
試合後、悪役レスラーにツイッターで「解説席じゃなくリングに上がれ」と挑発されたウルフは、「畳の上でやりましょう!」と返答。どちらの舞台でも観てみたい。
※週刊ポスト2022年1月28日号