芸能

ノンスタ石田明、NSC講師として生徒に伝える「表現方法へのこだわり」

NSC講師も務めるNON STYLEの石田明

NSC講師も務めるNON STYLEの石田明

 吉本興業が運営する吉本総合芸能学院、通称「NSC(ニュー・スター・クリエイション)」は、圧倒的多数の人気芸人を輩出してきたことで知られる。同学校の講師の一人が、お笑いコンビ・NON STYLEの石田明。M-1チャンピオンは、芸人を目指す生徒たちに何を伝えているのか。石田に話を聞いた。

 * * *
 僕は、自分が「面白くない側の人間」だと思っています。漫才コンビのNON STYLEを結成する前、僕よりは余裕で面白い2人とトリオを組んで活動していたのですが、2人は芸人を続けず、今は僕だけが続けている。それは、面白いはずの2人が、ネタを作れなかったから。人物としては面白いのに、発想をネタに変えられなくて、消えてしまったんです。

 結局、発想を人にちゃんと伝えられるネタへと変えられるよう、ロジカルに見たり、組み立て方を考えたりしてきたのが僕。NSCの大半の生徒よりも面白くない僕だからこそ、「この面白くないボケを、どうやって面白く見せるか?」と、表現の仕方にはこだわってきました。

 だから、NSCで僕は単純にネタの「届け方」に特化して講師をしています。お笑いの根幹部分についての指導は、本当に面白い人であるパンクブーブーの佐藤哲夫さん、笑い飯の哲夫さんという講師たちにお任せです(笑)。

 芸人を目指す前は、お笑いファンとして追っかけをしていました。お笑いのネタを観ながらずっとメモして家で見返したら、あるとき気づいたんです。「文字上では面白くないのに、生でネタを見たら面白い人がいる。なんでだろう?」と疑問に感じたのが原点ですね。そうそう、芸人を目指す人は、気になる先輩のネタを全部メモして、一度は完コピしてみてほしい。自分の欠点と先輩のすごさが自然と分かるんですよ。

 また、もともと路上ライブをやっていたので、街の雑踏のなかで相手に伝わらないことへのジレンマも強くて。「どうやってお客さんに届けるか?」を追求していたら、僕なりの答えを見出せました。劇場ライブなら、お客さんは最初から最後まで観てくれるけど、路上は違いますからね。とはいえ劇場でも、ただ座っているだけで心を閉じている客だっています。それをどうやってこじ開けるか、も勝負どころです。

 NSCで学ぶお笑いの技術は、コミュニケーションの一環。卒業後、もし芸人にならないとしても、絶対自分のプラスになる1年間を過ごせますよ。

【プロフィール】
石田明(いしだ・あきら)/NSC講師。井上裕介氏と結成したコンビ「NON STYLE」ではネタ作りを担当。M-1グランプリ2008優勝のほか、数々のコンクールで入賞を重ねる。2021年度から、NSC講師としてネタ見せ授業を担当。

取材・文/山本真紀 撮影/古川章

※週刊ポスト2022年4月1日号

関連記事

トピックス

大谷翔平(左/時事通信フォト)が伊藤園の「お〜いお茶」とグローバル契約を締結したと発表(右/伊藤園の公式サイトより)
《大谷翔平がスポンサー契約》「お〜いお茶」の段ボールが水原一平容疑者の自宅前にあった理由「水原は“大谷ブランド”を日常的に利用していた」
NEWSポストセブン
林田理沙アナ。離婚していたことがわかった(NHK公式HPより)
離婚のNHK林田理沙アナ(34) バッサリショートの“断髪”で見せた「再出発」への決意
NEWSポストセブン
かつて問題になったジュキヤのYouTube(同氏チャンネルより。現在は削除)
《チャンネル全削除》登録者250万人のYouTuber・ジュキヤ、女児へのわいせつ表現など「性暴力をコンテンツ化」にGoogle日本法人が行なっていた「事前警告」
NEWSポストセブン
主演映画『碁盤斬り』で時代劇に挑戦
【主演映画『碁盤斬り』で武士役】草なぎ剛、“笠”が似合うと自画自賛「江戸時代に生まれていたら、もっと人気が出たんじゃないかな」
女性セブン
水卜麻美アナ
日テレ・水卜麻美アナ、ごぼう抜きの超スピード出世でも防げないフリー転身 年収2億円超えは確実、俳優夫とのすれ違いを回避できるメリットも
NEWSポストセブン
撮影現場で木村拓哉が声を上げた
木村拓哉、ドラマ撮影現場での緊迫事態 行ったり来たりしてスマホで撮影する若者集団に「どうかやめてほしい」と厳しく注意
女性セブン
5月場所
波乱の5月場所初日、向正面に「溜席の着物美人」の姿が! 本人が語った溜席の観戦マナー「正座で背筋を伸ばして見てもらいたい」
NEWSポストセブン
遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜の罪で親類の女性が起訴された
「ペンをしっかり握って!」遺体に現金を引き出させようとして死体冒涜……親戚の女がブラジルメディアインタビューに「私はモンスターではない」
NEWSポストセブン
氷川きよしの白系私服姿
【全文公開】氷川きよし、“独立金3億円”の再出発「60才になってズンドコは歌いたくない」事務所と考え方にズレ 直撃には「話さないように言われてるの」
女性セブン
被害者の平澤俊乃さん、和久井学容疑者
《新宿タワマン刺殺》「シャンパン連発」上野のキャバクラで働いた被害女性、殺害の1か月前にSNSで意味深発言「今まで男もお金も私を幸せにしなかった」
NEWSポストセブン
NHK次期エースの林田アナ。離婚していたことがわかった
《NHK林田アナの離婚真相》「1泊2980円のネカフェに寝泊まり」元旦那のあだ名は「社長」理想とはかけ離れた夫婦生活「同僚の言葉に涙」
NEWSポストセブン
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン