搭乗していた人が脱出直後に撮影した炎上中の航空機
リナーテ空港事故では2機の全員が犠牲に
今回の事故をめぐる報道では、国内の空港での炎上を伴う事故で脱出により犠牲者が出なかった事例として2007年に那覇空港で起きた「チャイナエアライン120便炎上事故」と比較するものがある。が、同事故はボルトの脱落に伴う燃料漏れから起きた単独事故であり、事故発生のシーンとしては前述の2つの事故に近いという解説だ。
「ロスの事故では、管制ミスなどが原因となって、滑走路上にいたスカイウェスト航空の小型旅客機(乗客・乗員12人)の上に、着陸したUSエアー機(乗客・乗員89人)が乗っかって押しつぶすようにして衝突。そのまま2機とも約400メートル滑って建物に激突・炎上しました。この事故ではスカイウェスト機は12人全員が死亡、着陸したほうのUSエアー機は22人が死亡しました。火災や衝突で一部の非常口が変形して使えなくなっていたことや、火災で出られる非常口が限られていて脱出が簡単ではなかったこともわかっています。
今回の羽田の事故の原因や使えない非常口があったのかといった状況などは今後の調査で明らかになりますが、『全員脱出』情報が流れる前に炎上する日航機の映像を見ていたら、ロスの事故を思い出して肝が冷えました」(同前)
リナーテ空港事故では、離陸するために滑走していたスカンジナビア航空機(乗客・乗員110人)と、滑走路に誤進入したドイツのセスナ機(乗客・乗員4人)が衝突した。
「スカンジナビア機はわずかに離陸したものの推力を失って空港施設に突っ込みました。離陸時だったため、10トンの航空燃料が猛烈な勢いで炎上。両機の全員と地上職員4人が巻き込まれて犠牲となりました。
今回の羽田の事故では、離陸機ではなく燃料が少ない着陸機だったことが不幸中の幸いだったかもしれません。それでも、火の勢いはかなり強かったように感じました」(同前)
羽田の事故では機体が滑走路上を進んで別の構造物などに衝突せず、停止後にスピーディーな脱出ができたことにより最悪の事態が回避できたと見られるが、ロスとリナーテの事故のように多くの犠牲者が出る事態とは紙一重だったと言えそうだ。
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