ライフ

東京都の漫画表現規制「時代的気分」に抵抗しうるのは歴史

【書評】
【1】戦時児童文学論―小川未明、浜田広介、坪田譲治に沿って(山中恒/大月書店)
【2】漫画教室(手塚治虫/小学館クリエイティブ)
【3】全国貸本新聞(不二出版)
評者:大塚英志(まんが原作者)

 * * *
 猪瀬直樹と石原慎太郎という文学者出身の政治家に主導され進行するまんが表現の規制は、かつて十五年戦争下、詩人出身の内務省官僚・佐伯郁郎が百田宗治などの詩人人脈を実動部隊として児童図書の規制を始め、それがまんがに及んだことが連想される、と以前書いた。

【1】を読むと、その規制をプロレタリア児童文学者が当然視するような発言があったことが指摘され興味深い。小熊秀雄がまんが規制に何故、加担したのか納得できる。山中は児童文学者が戦時協力していった背景に「時代的気分」、つまりは今で言う「空気」にあったと考え、その「空気」が作られていく過程を膨大な資料をふまえ丹念に追っていく。作り手自身が抑圧する側に回ることで保身しているものこそが本当は「文学」の戦う相手だったんじゃないの、と言ったところで今も昔も誰も聞かないのだろう。

 結局、「時代的気分」に抵抗しうるのは山中のように歴史資料を丹念に読みほどく手間暇ではないか。【2】、【3】もマニアックなまんが史ではなく「戦後史」の資料としてどう読み取っていくか、「使う側」の歴史を見る力量がやはり問われる。

※週刊ポスト2011年1月7日号

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
【無理にやらなくていい&やってはいけない家事・洗濯衣類編】ボタンつけ・すそあげはプロの方がコスパ良、洗濯物はすべてをたたむ必要なし
【無理にやらなくていい&やってはいけない家事・洗濯衣類編】ボタンつけ・すそあげはプロの方がコスパ良、洗濯物はすべてをたたむ必要なし
マネーポストWEB
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン