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演歌好きの米国歌手「五木ひろしはプリンスそっくり」と断言

演歌好きの米国人歌手・フレディー

「演歌+ソウルでエンソル、演歌+ブルースでエンブル。僕の演歌はリズミカル。老若男女に受け入れられる曲だと思います」

 褐色の大男が演歌をR&Bのリズムにアレンジし、情感たっぷりに歌いあげる。もともとアメリカの軍人だったというフレディー・スネディコー(49)は、今では神戸の型破りなシンガーソングライターとして知られている。

 フレディーが海軍の一員として横須賀基地に赴任したのは1981年。除隊後は帰国予定だったが、音楽仲間から「日本はバブル! キミの演奏技術ならいっぱいお金をもらえる」と引き止められた。東京でもんたよしのりらのバックでギターを演奏し、1993年頃から仕事の場を神戸に移した。彼が語る。

「1995年の阪神淡路大震災で被災して、僕は怪我もなく無事だったけど、友人を亡くし、大好きな神戸の街が倒壊していく様子も目の当たりにした。でも、あの地獄から復興し今では昔以上にきれいな神戸に戻った。僕にとって神戸はマイタウン。ずっと神戸に住みたいと思うようになりました」

 神戸に腰をすえて音楽活動を開始。演歌と出会ったのは2005年。妻の実家が経営する健康ランドの余興として洋楽を演奏していたところ、お客さんから「演歌も歌って」といわれて歌い始め、次第に演歌の魅力に取りつかれていった。

「演歌は自然に日本語で感情が乗せられる歌です。その演歌がお年寄りにしか聴かれていないのは悲しい。新しい演歌のジャンルを作れば若者も聴いてくれると思って『エンソル』や『エンブル』を作りました。そもそも演歌はR&Bのリズムに近い。例えば、五木ひろしの感情を込めてコブシをきかせる歌い方はプリンスにそっくりなんです。決して意外な組み合わせではない」(フレディー)

 代表曲『関西空港』にノックアウトされる人が“圧倒的多数”だ。

【プロフィール】
フレディー●1962年1月、アメリカ・アラバマ州生まれ。父親が音楽プロデューサーという音楽一家に育つ。1981年に海軍の一員として来日し、除隊後はKANやもんたよしのりらのバックバンドを務める。2007年から『エンソル』などのCDを自主制作で販売。神戸を中心に歌手活動を続けている。

撮影■谷口圭一

※週刊ポスト2011年3月11日号

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