杜の都・仙台の復興にいち早く声を上げたのが「地元名物」だった。
仙台銘菓「萩の月」で有名な菓匠三全は、仙台市街から南に30kmの大河原町にある製造工場の壁が損壊、機械が転倒するなどの被害に遭った。
「電気も水道も止まり、検査の必要もあるので、工場の生産ラインが正常に動くのは4 月に入ってからになりそうです。それでも、仙台を代表するお菓子として少しでも地元の役に立ちたかったので、在庫を避難所に送ることを決めました」(田中正人・専務)
きっかけは避難所生活を送った同社の総務部長が、逼迫した食事事情を会社に報告したことだった。地震発生4日後(15日)、大河原町役場に「萩の月」などのお菓子約1万1500個を提供。翌16日以降も県南部の自治体に配布した。
「津波に襲われて約1200人が孤立した仙台空港では、空港職員が配った『萩の月』で被災者が元気づけられたという話も聞きました。今後、生産ラインを一刻も早く回復させて、また避難所に届けたい」(同前)
※週刊ポスト2011年4月8日号