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大前研一氏「日本の住宅事情は国家破綻寸前のギリシャ以下」

今、未曽有の円高が続いている。大前研一氏は、これを解消するためには通貨供給量を増やすべきだと指摘。ただしその大前提として、お金が市場に吸収されるためには、規制撤廃が必要だという。

* * *
たとえば日本の街づくりは、中央省庁による様々な規制によって身動きが取れない状況になっている。それをすべて撤廃するのだ。具体的には、建築物の建蔽率と容積率を物理的な危険がない範囲で自治体が自由に決められるようにする。街並みをブロック単位で建て替える場合は、過半数の住民の賛成でできるようにする。あるいは、大都市の市街化調整区域をなくして大規模な住宅開発を可能にする。

こうした権限を国や都道府県から市町村(コミュニティ)に移し、自由な街づくりを可能にするのである。そうすれば、建設ブームが起きて巨大な需要が発生し、経済が活性化してお金が吸収される。通貨供給量を増やした効果が現われて円高も反転していくはずだ。

しかも、その結果、日本の街並みと住宅環境が改善される。日本は世界トップクラスの1人当たりGDPを誇っていながら、大都市の街並みは、欧米はもとより今や中国にも見劣りするほど貧相だ。個人の住宅も、1人当たりGDPが日本の半分以下で国家が破綻しかかっているギリシャのほうが、よほど立派である。

要するに日本は個人生活レベルで見ると、まだまだニーズもお金もあるのだ。ところが、個人金融資産1400兆円の大半は貯蓄に回って国債に化け、いわゆるバラ撒きと公共工事の財源になってしまっている。そのお金が市場に出てきて投資に回り、循環することが重要なのであり、それを可能にする唯一の手立てが規制撤廃なのである。

※週刊ポスト2011年10月21日号

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