46才で料理研究家としてデビューしてから、東京・田園調布の自宅で料理教室を主宰するかたわら、『きょうの料理』『あさイチ』(ともにNHK)などで人気の鈴木登紀子さん(88才)。“ばぁば”こと鈴木さんが「あく抜き」の上手な方法を教えてくれた。
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えぐみの強い春野菜をはじめ、お料理をすっきりした味わいに仕上げるには、素材がもつ「あく」を上手に抜くことが肝要です。
たけのこや大根、ごぼうの下ゆでに米糠を使いますと、糠があくを吸収してくれます。糠がなければ、お米のとぎ汁、あるいはお米を大さじ1ほど加えてゆでてもよろしいのよ。
うどやれんこんにはお酢。お酢を1~2滴落とした水に切る端から放すことで、味も色もきりっとします。ただし、あまり長いこと放置しませんよ。3~4分置きましたら、必ず真水でサッと洗ってくださいね。ゆでるときも同様に、お酢をほんの少し入れますと、色白に仕上がります。
また、本来の旬は冬ですが、一年中出回っているほうれん草や小松菜などの青菜は、日本の食卓に欠かせないおひたしの代名詞です。
たとえばほうれん草。大抵の人は、沸いたお湯の中に1束丸ごとバサッと入れるようですが、これではお湯の温度が急激に下がり、再び煮立つまでにたいそう時間がかかります。待つ間にほうれん草はクタクタ、どんどんあくが出て、お鍋の中は真っ黒な「悪の巣窟」と化してしまいます。
青菜はシャキシャキした歯ざわりが身上。2株ずつ小分けにし、塩をひとつまみ落とした熱湯に、ほうれん草を根元のほうから入れます。
煮立ってきたらサッと菜箸で裏返し、次に煮立ったところで冷たい水に取り、あくを除きます。これを繰り返します。
なお、水けは“拝み絞り”で。布巾で包み、仏様に手のひらを合わせるように頭を下げ、心と力を込めて、しっかり絞りましょう。
※女性セブン2012年5月3日号