「交流戦を制する者はペナントを制する」という言葉通り、例年、交流戦で好成績を残したチームはリーグ優勝に大きく近づいている。そこで各チームは、普段対戦しない相手の研究に余念がないのだが、中には一風変わった闘志を燃やす選手たちもいる。交流戦だからこそ実現する「因縁対決」の見どころを紹介しよう。
中日に出戻った大ベテラン・山崎武に、楽天ナインの思いは複雑だ。
「殴った選手でも別れの時には泣いてくれた。愛情があればわかってもらえる」
楽天時代に繰り出した若手への「鉄拳制裁」について山崎はこう振り返るが、殴られた方の真意はわからない。主将を務めた嶋は、「山崎さんには厳しく指導された」と語っているが、その目は笑っていない。
「山崎が、楽天戦で“お礼参り”をされる可能性は高い。嶋は“ぶつけても構わない”とばかりに胸元へのボールを要求するでしょう」(楽天番記者)
それを見越してか、山崎は嶋に「内角攻めはやめてなァ」と笑顔で凄んでいるという。また、高木監督(中日)と星野監督(楽天)の関係についての中日OBの弁は興味深い。
「この2人は現役時代から犬猿の仲。中日の監督人事は星野→高木→星野、そして結局、高木の再登板という関係が続き、監督が替わる度に前体制を批判してきた。中京圏の財界も高木派と星野派で割れている」
星野監督はいうに及ばずだが、実は高木監督もかなりの短気。先日もファンのヤジに顔を真っ赤にして反駁して「瞬間湯沸かし器」ぶりを見せつけた。
「中日―楽天戦は両方の監督がキレまくるという、ファンから見れば面白い試合になるだろうね。選手は大変だけど(笑い)」(同前)
前出の山崎vs嶋といい、このカードは荒れそうだ。
※週刊ポスト2012年5月25日号