国内

「ノマドワーカー」安藤美冬さんの弾丸トークに「残念」の声出る

 質問に対する返答の素早さ。明快さ。断定的に言い切る強さ。自信に裏打ちされているようにとうとうと流れるような口調……。最近話題のノマドワーカー、その象徴ともいえる安藤美冬さんのトーク術に、作家で『五感のチカラ』著者の山下柚実氏は違和感を覚えるという。農耕民族の日本人にノマド=遊牧民族はなじまない? 以下は、山下氏の視点である。

 * * *
 NHKの討論番組やTBSの人物ドキュメンタリー『情熱大陸』で、「ノマドワーカー」として登場し、今、脚光を浴びている安藤美冬さん。先日はBSフジの『プライムニュース』という生番組で、特集コーナーのゲストとして出演されていました。

 話題の人ということ以外、さほど安藤さんのことを詳しく知らないのですが、とにかく印象的なのはその語り口です。司会の話し方の「倍」の速度はあろうかという、弾丸トーク。話の「内容」うんぬんの前に、次々とよどみなく出てくる言葉。そのあまりの「速度」に、びっくりさせられました。
 
 質問に対する返答の素早さ。明快さ。断定的に言い切る強さ。自信に裏打ちされているようにとうとうと流れるような口調。
 
 すごい。普通の人ではとても、彼女と同じようには質問に答えることなどできません。「えーと、それはですねぇ」とか、「うーん、なんといいますか」とか、よけいな言葉が間に入ってしまう。

 入れながら考え、考えつつ言葉を修正し、なんとか自分が感じたことをつないでいく。相手に伝えようと四苦八苦する。それが一般的ではないでしょうか。

 しかし、安藤さんは違うのです。質問をされてから答える時間がものすごく短い。明確に言い切り、修正はなし。そんな風に話すことができること自体、周到な準備無くしてはありえないのでは。

 おそらく、質問をあらかじめ想定し、その答を完璧に準備した上での、弾丸トークなのではと、想像させられました。正確で、情報量が潤沢で、論理的な話しぶり。……しかし、ひとつ「残念な」ことがあります。
 
 それは、いくら耳を澄まして聴いても「言いたいこと」が伝わってこないということです。次から次へと滑走していく言葉の掴まえどころがなく、実感として迫ってこない、ということです。

 彼女の立ち位置も、いかにも「普通の人」ように語りつつ、現実的には特権的なポジション。よけいに、聞いている人の胸に響かない。結局、何を言いたかったのか伝わらない。ご本人にとっても、聞いている人にとっても、これはまったく「残念な」結果ではないでしょうか。
 
 しょせん日本人は農耕民族。一つ一つ種を蒔き、育つのをじっと待つ。訥々と、感じたことを不器用に語るほうが性に合っているし、聴く側にも響くということかも。結局は、獲物を器用にピックアップする遊牧民族=ノマドの真似をしても切ないよ、ということかもしれません。


関連キーワード

関連記事

トピックス

森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
日本人パートナーがフランスの有名雑誌『Le Point』で悲痛な告白(写真/アフロ)
【300億円の財産はどうなるのか】アラン・ドロンのお家騒動「子供たちが日本人パートナーを告発」「子供たちは“仲間割れ”」のカオス状態 仏国民は高い関心
女性セブン
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト