ライフ

マンガ名言が持つ言葉の力が働く人のやる気に火をつける理由

マンガ名言が記された缶

 いまやアクティブユーザーが世界で月間2億人を超えているTwitter。初めて登録したとき、芸能人や映画の公式などの有名アカウントをフォローした人も多いだろう。慣れてくると、実在の人物だけでなくマンガの登場人物でも数万単位、中には10万以上のフォロワーを集めていることに気づく。

 高校時代に夢中になった『スラムダンク』(集英社刊)の名言アカウントをフォローしている30代会社員は言う。

「セリフが登録されていて自動でつぶやくだけのアカウントなんですけど、大好きな作品を少し読み返しているような気分になるんです。自分に向かって話しかけているわけじゃないとわかっていても、安西先生に『あきらめたらそこで試合終了だよ』とつぶやかれたら、自分も頑張らないと、という気分になりますよ」

 Twitterとマンガの情報は親和性が高く、拡散のスピードと規模も大きくなりやすい。小学館本社ビル取り壊しに際して行なわれたマンガ家達による「ラクガキ大会」も、ラクガキをしていたその瞬間に編集者や参加したマンガ家たちがTwitterで実況していた。それらのつぶやきはあっという間に広がり、見たいと希望する読者の声が殺到。8月24、25日の一般公開には全国から約8000人のファンが集まった。

 壁にラクガキされたキャラクターたちを見た人たちの多くは、マンガとそのキャラクターたちが発する様々な名言を思い浮かべていたことだろう。

「昨今、『スラムダンク』『ワンピース』(集英社刊)、『カイジ』(講談社刊)などの人気マンガの名言は単行本になっており、マンガの持つ言葉の力がクローズアップされています」

 こう語るのは『マンガの食卓』(NTT出版刊)などの著書があるマンガ解説者・南信長氏(48)。マンガはいまや子どもや少年少女だけでなく、壮年、老人まで幅広い世代のものだという。

「1959年に『週刊少年サンデー』(小学館刊)、『週刊少年マガジン』(講談社刊)が同時創刊し、1970年代以降には、大学生がマンガを読むようになったことが社会問題になりました。当時、マンガで育った大学生は、今や還暦をすぎており、大人になったらマンガは卒業、ということはありません。

 さらに最近では、他人に影響を与える言葉の発信源が、どんどん身近になっているんです。ツイッターなどで知人の意見を参考にする、書店では書店員さんのお勧めを参考にする。こうした目線の近い人の意見こそが重視される時代なのでしょう。マンガキャラクターの言葉が親近感をもって、すっと受け入れられるのは、自然な流れかもしれません」(南氏)

 そのブームのまっただ中、この10月から、缶コーヒー『FIRE 挽きたて微糖』の缶の側面にも「心の火を大きくする名言マンガ」と題して、マンガ名言が掲載されている。

「コーヒーは火でおいしさを引き出します。缶コーヒー『FIRE』を通じて、”働く人の心に火をつけたい”という思いから、今回の企画も生まれたんです」

 こう語るのは、キリンビバレッジ・マーケティング部『FIRE』担当の大塚宗太郎氏(40)。

「マンガ名言には、働く人たちのやる気を起こさせる力が強い、と注目しました。缶コーヒーを飲まれる30~50歳の方々の中には、根強いマンガファンが多い。そうした方々に、懐かしいマンガの名言はしみわたるのではと考えています」

 缶コーヒー『FIRE 挽きたて微糖』に掲載されるマンガ名言は30種類。たとえば、『釣りバカ日誌』の浜ちゃんが会社員としての誇りを、『総務部総務課山口六平太』の山口六平太が仕事の基本を見せてくれ、『めぞん一刻』の音無響子さんがやさしく励ましてくれる。

そして、名言の脇にあるQRコードをスマートフォンや携帯電話で読み取るか、書かれているURLからキャンペーンサイトにアクセスすれば『名言』のワンシーンを含むマンガを1話、無料で読むことができる。

「企画を上司に説明に行くと、非常に受けが良かったんです。その時、これはいけると思いました。」(大塚氏)

 大塚さんのチームメンバーは、オフィスの机にコミック単行本を数十冊置き、ひたすら名言を探しつつ読みまくったという。

 仕事のブレイクタイムに、すっきりした後味の微糖コーヒーを味わいながら、懐かしいあのマンガを1話読んで、心に火をつけてみてはいかがだろうか。

関連記事

トピックス

4月12日の夜・広島県府中町の水分峡森林公園で殺害された里見誠さん(Xより)
《未成年強盗殺人》殺害された “ポルシェ愛好家の52歳エリート証券マン”と“出頭した18歳女”の接点とは「(事件)当日まで都内にいた」「“重要な約束”があったとしか思えない」
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン
「父としての自覚」が芽生え始めた小室さん
「よろしかったらお名刺を…!」“1億円新居”ローン返済中の小室圭さん、晩餐会で精力的に振る舞った理由【眞子さんに見せるパパの背中】
NEWSポストセブン
多忙なスケジュールのブラジル公式訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《体育会系の佳子さま》体調優れず予定取り止めも…ブラジル過酷日程を完遂した体力づくり「小中高とフィギュアスケート」「赤坂御用地でジョギング」
NEWSポストセブン
吉田鋼太郎と夫婦役を演じている浅田美代子(『あんぱん』公式HPより)
『あんぱん』くらばあ役を好演の浅田美代子、ドラマ『照子と瑠衣』W主演の風吹ジュン&夏木マリ…“カッコよくてかわいいおばあちゃん”の魅力
女性セブン
麻薬密売容疑でマグダレナ・サドロ被告(30)が逮捕された(「ラブ・アイランド」HPより)
ドバイ拠点・麻薬カルテルの美しすぎるブレイン“バービー”に有罪判決、総額103億円のコカイン密売事件「マトリックス作戦」の攻防《英国史上最大の麻薬事件》
NEWSポストセブン
宗教学者の島田裕巳氏(本人提供)
宗教学者・島田裕巳氏が皇位継承問題に提言「愛子天皇を“中継ぎ”として悠仁さまにつなぐ柔軟な考えも必要だ」国民の関心が高まる効果も
週刊ポスト
広島県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年6月、広島県。撮影/JMPA)
皇后雅子さま、広島ご訪問で見せたグレーのセットアップ 31年前の装いと共通する「祈りの品格」 
NEWSポストセブン
無期限の活動休止を発表した国分太一(50)。地元でもショックの声が──
《地元にも波紋》「デビュー前はそこの公園で不良仲間とよくだべってたよ」国分太一の知られざる “ヤンチャなTOKIO前夜” 同級生も落胆「アイツだけは不祥事起こさないと…」 【無期限活動停止を発表】
NEWSポストセブン
出廷した水原被告(右は妻とともに住んでいたニューポートビーチの自宅)
《水原一平がついに収監》最愛の妻・Aさんが姿を消した…「両親を亡くし、家族は一平さんだけ」刑務所行きの夫を待ち受ける「囚人同士の性的嫌がらせ」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一(右/時事通信フォトより)
《あだ名はジャニーズの風紀委員》無期限活動休止・国分太一の“イジリ系素顔”「しっかりしている分、怒ると“ネチネチ系”で…」 “セクハラに該当”との情報も
NEWSポストセブン
夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン