孝行のしたい時に親はなし――とはよく言ったものだが、そんな体験が寄せられた。48才パートの女性はこの言葉を現在痛感しているという。彼女からの告白を紹介しよう。
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夫の仕事の都合で、東京に引っ越してからは、あまり実家に帰らなくなっていました。ある時、数年ぶりに実家に戻ると、「連絡をよこせ」、「孫の顔が見たい」と母がうるさく言うので、携帯電話をプレゼントして、写真付きのメールを送ることにしました。
ところが、機械オンチの母はメールの返信ができないようでした。反応がないせいか、私の送る頻度もだんだんと減っていきました。
そんなある日、母の急死の知らせが入りました。実家に戻ると、母の枕元には10年以上前に私が渡した携帯が置いてありました。塗装が剥げてボロボロになった携帯を手に取ると、「お前から届いたメールが消えるのを嫌って、替えなかったんだ。暇さえあるとメールを読み返していた」と父。
壁紙には、娘が11才の誕生日に写した写真が。娘はその時16才です。母の中で、娘は11才で止まったままだったのです。忙しさを言い訳にして、母の気持ちを考えようともしなかった自分が情けなくなりました。もっと実家に帰っていれば…。こんなに早く会えなくなるとは思わなかったなんて、言い訳にもなりません。お母さん、本当にごめんなさい。
それからは、毎年家族写真を撮り、父に写真付きの年賀状を送っています。
※女性セブン2014年1月30日号