しかしこの事件は、2つの大きな問題を孕んでいます。ひとつは、これがメールによってなされたということ。しかも、「なんとかしなければ、インターネットで商品や企業の悪口を流す」と、ネットでの悪評拡散を脅しの手段に使っています。私たちが便利だと思って使っているインターネットが、クレーマーの武器になっているのです。
もうひとつは、この事件の犯人が12歳の少年だったということです。決してこの少年、札付きの不良というわけではありません。どこにでもいる、むしろ優等生の部類だったそうです。こうした、一見、モンスターに見えない少年が、面白半分にクレーマーと化してしまうのです。他人にクレームをつける、という行為が、非常に簡単に実行されている。ネットによってハードルが下がったのです。
心的負担をクレーマーから見ると、店舗に赴いてクレームを言う>電話で言う>メールで済ませる、ということになっています。つまりインターネットは、一億総モンスター化させる恐怖を秘めているのです。
※援川聡・著/『理不尽な人に克つ方法』(小学館新書)より