「国道246号線沿いの池尻、三軒茶屋周辺は周囲より一段と低くなっている。烏山川や蛇崩川など小さな川がいくつかあり、豪雨になるとその近くでよく水が溢れるのです。自由が丘には過去に農業用水を確保するための六郷用水がありました。ここも水が溢れやすい場所です」(宮村氏)
地名から過去の土地利用のされ方を知り、危険を推し量ることもできる。高級住宅街として知られる田園調布は地名に「田園」とあることから類推できるように、「かつては田んぼで農業用水がそこに引き込まれていた。つまり、川が氾濫すれば水に浸かるということ」(同前)なのだ。
東京の西部、南部の人気の住宅地には「池」「沼」「谷」といった水に因む地名が多い。
それ以外にも、局地的な水没スポットがある。
「新宿の都庁のあたりはピンポイントで危険。周辺の道路は立体交差のアンダーパスが多く、低い場所がある。水が溜まりやすく、そこで大水が出たら地下鉄を通って水が溢れ出る危険もある。
洪水は地面の上だけを考えているとダメです。川の水がれると、地下鉄の入り口から水が浸入する危険がある。例えば北千住から地下鉄に流れ込んだ荒川の水が九段下駅や日本橋駅の出入り口から溢れることも考えられる」(宮村氏)
※週刊ポスト2014年7月18日号