だが、仮にVWとの関係を清算できたとしても、スズキには早くも“再々婚話”の噂が持ち上がっている。経済ジャーナリストの福田俊之氏がいう。
「VWのライバルである世界7位のイタリア・フィアットはスズキにディーゼルエンジンを売っていますが、CEOのセルジオ・マルキオーネ氏がスズキに秋波を送っています。鈴木修会長を『尊敬している』と持ち上げ、スズキとの提携拡大によってアジア市場を強化したいと目論んでいます。
海外メーカーだけではありません。国内ではホンダが軽自動車の比率を高めたり、日産と三菱自動車が軽自動車の共同開発をしたりと、軽市場が主戦場になっています。ダイハツ工業はすでにトヨタ自動車の傘下になっているので、今後、いつスズキとの協業を持ちかけるメーカーが出てもおかしくありません」(福田氏)
御年84歳、スズキのカリスマ経営者である修氏は、「基本的には自主独立路線を貫くが、スズキの看板を汚さずに多大なメリットを享受できるなら、他社に媚を売るのも厭わない」(全国紙記者)といわれるほど“したたか経営”で知られる。
VWとの“離婚係争”を教訓に、この先スズキがどこまで他社とのアライアンスに興味を示すのか。その行方によっては、また大掛かりな自動車業界再編のきっかけを作らないとも限らない。