佐治社長は、その判断基準についてはこう話してくれた。

「気です。起案者のエネルギー、情熱が感じられれば僕のテイストでなくてもよろしい。また、データを信じてはいけない。データが先に来ると、どうしても凝り固まってしまい、新しいモノがでない」

 求めているのは、人の強い意志であり、情熱。安定志向や従来の延長的な発想を、ことごとく嫌う。一方で現実主義者の顔も持つから佐治社長とは不思議な人だ。何より言ったことは必ず、実行する。

 国内市場は少子高齢化が進み、拡大の余地は小さい。海外展開が急がれていたが、その上でグローバルな舵取りができるプロ経営者を外部から入れる。115年の伝統を守るために、「創業家」という伝統を捨てたのだ。ある取材で、佐治社長がこんな危機感を口にしていたことがある。

「かつては『やってみなはれ』より前に、『やっちゃいました』と勝手にやってしまう社員がいた。ところが最近はいなくなり面白くない」

 一見、“賭け”と称される佐治社長の経営だが、全てはリアリストならではの計算に基づく。もちろん、ただ慎重なだけではない。決断の裏には、偉大なる祖父、父を乗り越えようとしながらも、サントリーのDNAを次世代に必死で残そうとする佐治社長の生き様が滲み出ている。やってみなはれ──その言葉は今、佐治社長から離れ、“創業家外”の経営者に受け継がれようとしている。

※SAPIO2014年9月号

関連記事

トピックス

【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン
どんな演技も積極的にこなす吉高由里子
吉高由里子、魅惑的なシーンが多い『光る君へ』も気合十分 クランクアップ後に結婚か、その後“長いお休み”へ
女性セブン
『教場』では木村拓哉から演技指導を受けた堀田真由
【日曜劇場に出演中】堀田真由、『教場』では木村拓哉から細かい演技指導を受ける 珍しい光景にスタッフは驚き
週刊ポスト
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
《視聴者は好意的な評価》『ちびまる子ちゃん』『サンモニ』『笑点』…長寿番組の交代はなぜスムーズに受け入れられたのか?成否の鍵を握る“色”
NEWSポストセブン
わいせつな行為をしたとして罪に問われた牛見豊被告
《恐怖の第二診察室》心の病を抱える女性の局部に繰り返し異物を挿入、弄び続けたわいせつ精神科医のトンデモ言い分 【横浜地裁で初公判】
NEWSポストセブン
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
各局が奪い合う演技派女優筆頭の松本まりか
『ミス・ターゲット』で地上波初主演の松本まりか メイクやスタイリングに一切の妥協なし、髪が燃えても台詞を続けるプロ根性
週刊ポスト
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン