「価格のすき家」はもう10数年に渡り、3大チェーンでもっとも安く「並」を提供し続けてきた。経営母体であるゼンショーの経営理念は「世界から飢餓と貧困をなくす」である。小川賢太郎社長は、港湾労働の過酷な現場で仕事人としてのキャリアをスタートさせた。その後吉野家に入社した理由も「食」をビジネスとして捉えていたからだという。シンプルなオペレーションに店舗設計、さらに「歩くときは1秒2歩以上」「カウンター席の客には原則、注文から10秒で牛丼を提供」など極限まで効率化されたマニュアルをもとに売上を伸ばし続けてきた。

 しかし、今年に入って従業員の労働体系が破たんし、働き手の不在によって店舗の大量閉鎖などの異常事態に陥った。7月末に提出された第三者委員会の調査報告書でも過重労働の実態が明らかになり、現在オペレーションを改善しているところだという。

 いまから百数十年前の明治期に、東京の下町に生まれた日本のファストフード、牛丼。“三社三様”の変革期が牛丼にもたらすものはなにか。切磋琢磨のなかで、日本を代表するファストフードはどのように変化するのだろうか。

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