逆になぜか言い伝えで短命になっているところも。宮崎奥地にある西米良村は山奥の平家の落人部落で、同じく落人村の周囲の村よりも短命。この村だけが昔から「カボチャを絶対に植えてはいけない。その家の身上がつぶれる」という伝承のせいでカロチンやビタミンCをはじめビタミン類を豊富に含むカボチャを摂らないことで短命になっているとの見方もあった。
この本の編集を担当し近藤博士の研究所に日参したほか、実地調査にも同行した経験を持つサンロード出版の萩原弘道氏は、こう述懐する。
「近藤先生は晩年までリュックを担いで自分の足で調査していました。全国津々浦々の990か町村で調査を行なって導き出された『緑黄野菜や海草、大豆そして小魚が長寿に寄与する』という近藤先生の研究は、現代でも立派に通用します」
もちろん交通が密になり、情報が均一化された現代では、極端な寿命の偏差は少なくなっているだろうが、健康で長生きしたいという人々にとって指針になる調査といえるのではないか。