事実は逆で、権力者や大企業、有名人らと対峙する週刊誌メディアこそ、独自に情報源を築き、取材を尽くして慎重に事実のみを報じなければ、すぐに反撃や告訴を受ける。一方、それら取材対象と“なあなあ”でやっている大新聞は嘘を書いても平気な顔である。そういう虚飾の仕事ばかりしているから、彼らは週刊誌をパクるときに、さも自分たちが独自に取材したフリをしたがる。それが「分かった報道」なのだが、そのほうがずっと醜悪だということに、いい加減に気づいたらどうなのか。
しかも新聞やテレビなどの大手メディアは、選挙が公示された途端、自民党からの圧力に屈して政権批判、候補者・選挙運動の問題を報じなくなった。選挙中に飛び出した麻生太郎・副総理の「産まないのが問題」という大暴言ですら、「『失言』と受け止められる発言」(読売)とか、「『問題発言』とも取れる発言」(日経)などと回りくどい、ひどい日本語で報じるのが精一杯だったのである。メディアが選挙報道で遠慮し、批判を避け、候補者に特別な配慮をするようになったら、もう筆を折ったほうがいい。
朝日をはじめ大新聞の記者は、記者会見であんなに偉そうに反り返っているのだから、それに見合った取材力と職業倫理を身に付けるべきだ。