いずれにせよ、提案が先送りになった背景には、市民や各種団体の主張を十分に吟味してから再度提案したほうが“風当たりも少ない”との胸算用があったのかもしれない。
同市議会の内馬場克康議長がいう。
「これだけ反響が大きく話題提供した条例なので、簡単な扱いはできません。パブコメの賛成意見は8割を超える一方で、慎重な検討を求めるとする反対署名も数多く集まっていました。そうした状況を見て、高橋幹夫市長はもう少し議論を重ねてからでも遅くないと判断したようです。
ただ残念なことに、次に開かれる議会は6月ですが、その前に市長・市議選が行われます。つまり、せっかく推進されようとしていた受動喫煙防止対策は改選議員で仕切り直しになってしまうのです」
市の関係者は、「高橋市長にとって受動喫煙防止条例は再選を勝ち取るための“切り札”。なんとしても今議会での成立を目指し、実績を引っ提げて選挙に挑みたかったはず」との見方を示す。
市は選挙の結果如何にかかわらず2015年度中の再上程を目指す予定だという。だが、そもそも、小さな美唄の町がなぜそこまで「たばこ条例」にこだわるのか。
「全国的な分煙の流れと同じく、美唄市でも歩きたばこやポイ捨て、路上喫煙をする人の姿も見かけなくなりましたし、公共施設ではすでに自主的な分煙の取り組みが徹底されています。
いまさら条例にしなければならない意図がよく分かりませんし、施設を細かく区分けした条例を作れば、かえって市民は混乱すると思います。そんなことに時間とお金を使うなら、苦しい市の財政を健全化させる方策を考えてほしい」(美唄市の施設管理者)
前出の内馬場市議は、「条例によって美唄を日本一環境にやさしい町としてアピールできる」と話したが、それもどの程度の効果が見込めるのか、議論を尽くすべきだろう。