人口約2万4000人の北海道美唄市で、道内の市町村レベルでは初となる受動喫煙防止対策の条例が制定されようとしていることは当サイトでも報じた(2015年2月18日)が、提案自体が先送りされることになった。
3月上旬にまとめられた条例の素案によれば、学校や病院をはじめ公共施設は敷地内または施設内を禁煙に、金融機関や郵便局、物品販売業を営む店舗などは施設内禁煙もしくは分煙が「望ましい対策」として盛り込まれていた。
その後、同市がホームページ上で3月15日まで市民の意見(パブリックコメント)を募った結果、554件もの声が寄せられ賛成意見が大半を占めたものの、反対意見の中にはこんな内容もあったという。
「“禁煙条例”というキーワードが報道で流れたこともあり、すべての施設が禁煙になるのではと誤解を受けている市民がいました」(美唄市保健福祉部健康増進課長の川西勝幸氏)
確かに前回の取材でも市は「飲食店などの施設は対象に含めず、あくまで罰則規定を設けない“努力義務”である」と強調していた。
しかし、条例という法で定める以上、一定の拘束力があることや、その後の条例改正で全面禁煙化へと一気に舵を切ることも可能なことから、当サイトでも敢えて「禁煙条例」という言葉を使った。
むしろ、施設区分や細かい中身に関して誤解する市民が多いのだとしたら、昨年12月に策定した受動喫煙防止のガイドラインが市民に周知されないまま、条例化へと突き進んでいたことの表れではないか。美唄市議の倉本賢氏もいう。
「条例案はガイドラインを踏まえた形になっていますが、ガイドラインを作成したことで受動喫煙の被害がどれだけ減ったのか、あるいは効果がまったくなかったのかという測定もしないまま条例化の手続きに入ることは拙速としか言いようがなかった。なによりも、ガイドラインに対する市民への説明や意見聴取も十分に行われていないのですから」