この「師匠って呼んでいいですか?」というくだりは、『火花』で徳永が神谷に言うセリフとして描かれている。ほかにも、作中には橋本との実話を元にしたエピソードが数多く登場している。しかし、橋本は、自身が『火花』の神谷のモデルだということはあまり言いたくないという。相方の加藤は、それが不満だと語る。
「ぼくはどんどんアピールしていきたいんですけどね。せっかく小説も売れてるんだし(笑い)」(加藤)
橋本を「師匠」と呼ぶ又吉だが、加藤とはどういう関係なのだろうか。
「橋本は“師匠”って呼んでますけど、ぼくのことは“康雄兄さん”。まあエライ扱いの差ですね。なめられてますよ(笑い)。でも、そうやって又吉がぼくのことイジってくれると、ほかの後輩とも距離が縮まって、接しやすくなりますからね。又吉なりの優しさだと思いますよ。ある意味、ぼくらアイツに目をかけてもらってるんですよ(笑い)」(加藤)
基本的にとても礼儀正しいという又吉。だからこそ困った部分も。
「いくら先輩後輩とはいっても、何年もずっといっしょにいると挨拶もくだけてくるもんなんですが、又吉の場合は今でも“おはようございます”ってちゃんと挨拶するんですよ。だから、又吉を基準にすると、ほかの後輩芸人がものすごく失礼に見えてくる、っていうのはありますね。ちゃんとしすぎているっていうか」(橋本)
しかし、その一方で“気持ち悪い”部分もあるという。たとえば、『火花』にも登場する「盗聴」の話。