国際情報

中国雑誌『知日』編集長 「日本のことは何も知らなかった」

『知日』の蘇静編集長

 現在、中国の若者層から熱烈に支持される月刊誌がある。その名は『知日』(日本では「ちにち」と呼ぶ)、中国人が日本のライフスタイルを「知る」ことをテーマとしている。2011年1月に創刊されるや話題を呼び、毎号5万~10万部を売り上げているという。尖閣問題や反日デモなどで、日中関係は悪化の一途をたどるなか、なぜ「知日」なのか? 北京市内の編集部で、同誌の名物編集長・蘇静氏(33)に話を聞いた。

 * * *
 こんな雑誌を作っていますが、僕は日本語が話せず、もともと日本のことは何も知らないんです。現在でも、同業者から「なんで君が作ってるの?」と聞かれるほど(笑)。
 
 ただ、日本を知らない僕だからこその疑問がありました。日本は中国と同じ東洋の国。なのに、なぜ日本の社会や日本人は、中国と似ているようで異なるのか? その答えを中国の読者に提示することに、大きな意味があると考えました。何より、僕自身も知りたいテーマなんです。これが創刊の大きな動機ですね。
 
 また、僕は編集者としては書籍のデザインにこだわるタイプ。中国の出版物には見た目がイマイチなものも多いので、それを変えたいと考えていました。
 
 中国の読者に、日本をキーワードにした新しいライフスタイルや考え方を提示する。そんなコンセプトの、雑誌を作りたかったんです。
 
 もちろん、世界にはオシャレな国がたくさんあるし、北欧もアメリカも魅力的です。ただ、欧米がテーマだと、中国人の読者からの継続的な関心を集められないように思えました。一方で日本なら、すぐ近所の国なのでみんな興味があるし、これから何年間も雑誌を続けても、きっとネタに困らないだろうと。
 
 近年の中国では、都市部の若者のライフスタイルや興味の方向性が日本に似てきた部分もあります。文化や生活習慣に似た部分があるからこそ、参考にできると考えたんです。

●構成/安田峰俊(ノンフィクション・ライター)
 
※SAPIO2015年6月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン