米経済・金融専門通信社・ブルームバーグ通信発表の所得ランキングで、「中国の不動産王」との異名をとる王健林・大連万達集団(ワンダ・グループ)会長が香港の大富豪である李嘉誠・長江実業会長や、中国一の富豪の馬雲アリババ集団会長を抜き去り、アジアで最大の富豪の座に躍り出た。
王氏の総資産は381億ドル(約4兆5700億円)で、これまでトップだった李氏や馬氏を抜いた。
同通信社によると、王氏の父、王義全氏は毛沢東主席らとともに長征(1934~36年)に参加、戦闘で重傷を負いながらも、抗日戦争や国共内戦を戦い抜いた紅軍の古参兵士。1949年の新中国建国後、故郷の四川省で長い間、幹部を務めたという建国の功労者だ。
中国全土を混乱に追い込んだ文化大革命(1966~1976年)では、王健林氏は、地方の農村で強制的に労働に駆り出されるという悲惨な経験をすることはなかった。それは父が地方幹部で軍出身者だったため、息子を軍に優先的に入れさせることができたからだ。当時の軍は毛主席の権力基盤で、いわば聖域だったからだ。
その後、王氏は1986年に大連市西崗区人民政府弁公室主任に転じ、さらに3年後、不動産経営に乗り出し、大成功を収め、現在では中国全土で109か所の大規模ショッピングモールをてがけ、69の五つ星ホテルを含む71軒のホテル、6600のスクリーンを持つ複合型映画館(シネマコンプレックス)や99のデパートも所有している。シカゴやロンドンにも進出している。
王氏の今後の目標として「2020年までに年商1000億ドル(現在のレートで、12兆円)の大台に乗せ、しかもそのうち30%を海外で稼ぐようにする。それが無理でも、海外の比率は最低でも20%台に乗せたい」と語っている。