スポーツ

五輪「トップ」スポンサーのトヨタ 1大会約500億円持ち出し

 様々な汚職騒動があったサッカーW杯の次に、巨額のカネが動くスポーツイベントは五輪だ。2020年の東京五輪を控えた五輪をめぐる公式スポンサー事情について、ジャーナリストの鵜飼克郎氏がレポートする。

 * * *
 30兆円とも言われる経済効果が見込まれる2020年東京五輪の公式スポンサーに、日本企業が続々と名乗りを上げている。

 世界中の人々が注目する五輪は企業にとっては4年に1度の巨大な宣伝活動の場だ。実は五輪には、競技場に広告看板を出すことを禁じるという「クリーンベニュー」ルールがある。ところが、協賛金(スポンサー料)を払い公式スポンサーになると、五輪を支援する企業と名乗り、自社製品やサービスを大会に提供する“特権”が与えられる。

 これがテレビ放送を通じて世界中に露出すれば、莫大な宣伝効果が期待できるため、企業はこぞってスポンサーに名乗りを上げるのだ。

 今回は地元開催でもあり、日本企業としてはこの商機をみすみす逃すことはできない。だが、問題は巨額につり上がった協賛金だ。五輪スポンサーには4つのランクがある。IOC(国際オリンピック委員会)と直接契約を結ぶのは「トップ」と呼ばれる「ワールドワイドオリンピックパートナー」で、全世界で12社が名を連ねている。契約期間は4~10年で、1社あたりの協賛金は実に300億~600億円とされている。

「以前は11社の合計で120億円程度(4年契約)だったのが、2008年の北京五輪でバブル化し、今は10倍以上になっている」(経済誌記者)

 日本企業からは「トップ」にトヨタ、パナソニック、ブリヂストンが入っている。トヨタの契約額は2024年までの10年で600億円以上と言われているが、それに加え、五輪公式車として自家用車やバスなどを1000台単位で提供する予定だ。持ち出しは1大会で約500億円とも言われる。トヨタだから負担できるもので、他の企業がおいそれとマネのできるものではない。

 この「トップ」の下にランクされるのが、JOC(日本オリンピック委員会)を中心とする東京五輪組織委員会と契約を結ぶ国内最高位スポンサーの「ゴールドパートナー」で、アサヒビールやキヤノンなど13社が決定している。2番手とはいえ、協賛金は1社150億円(2020年までの6年契約)だ。その下に、60億円の「オフィシャルパートナー」、10億~30億円の「オフィシャルサポーター」がある。

※SAPIO2015年8月号

関連記事

トピックス

代理人・バレロ氏(右)には大谷翔平も信頼を寄せている(時事通信フォト)
大谷翔平が巻き込まれた「豪華ハワイ別荘」訴訟トラブル ビッグビジネスに走る代理人・バレロ氏の“魂胆”と大谷が“絶大なる信頼”を置く理由
週刊ポスト
スキンヘッドで裸芸を得意とした井手らっきょさん
《僕、今は1人です》熊本移住7年の井手らっきょ(65)、長年連れ添った年上妻との離婚を告白「このまま何かあったら…」就寝時に不安になることも
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
《広陵高校、暴力問題で甲子園出場辞退》高校野球でのトラブル報告は「年間1000件以上」でも高野連は“あくまで受け身” 処分に消極的な体質が招いた最悪の結果 
女性セブン
大臣としての資質が問われる(写真/共同通信社)
三原じゅん子・こども政策担当相が暴力団とゴルフ写真の“反社疑惑”にダンマリの理由「官邸は三原氏のことなど構っていられない」
週刊ポスト
薬物で何度も刑務所の中に入った田代まさし氏(68)
《志村けんさんのアドバイスも…》覚醒剤で逮捕5回の田代まさし氏、師匠・志村さんの努力によぎった絶望と「薬に近づいた瞬間」
NEWSポストセブン
お仏壇のはせがわ2代目しあわせ少女の
《おててのシワとシワを合わせて、な~む~》当時5歳の少女本人が明かしたCM出演オーディションを受けた意外な理由、思春期には「“仏壇”というあだ名で冷やかされ…」
NEWSポストセブン
広陵野球部・中井哲之監督
【広陵野球部・被害生徒の父親が告発】「その言葉に耐えられず自主退学を決めました」中井監督から投げかけられた“最もショックな言葉” 高校側は「事実であるとは把握しておりません」と回答
週刊ポスト
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《ずっと若いママになりたかった》子ども好きだった中山美穂さん、元社長が明かした「反対押し切り意思貫いた結婚と愛息との別れ」
週刊ポスト
2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
暴力問題で甲子園出場を辞退した広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「石破おろし」の裏金議員「入閣リスト」入手!ほか
NEWSポストセブン
《高まる中国の軍事的脅威》日中の陸海空の軍事力を徹底比較 日本は海上戦闘や航空戦力では優位を保つも、ミサイル・ドローンでは中国が決定的に優位
《高まる中国の軍事的脅威》日中の陸海空の軍事力を徹底比較 日本は海上戦闘や航空戦力では優位を保つも、ミサイル・ドローンでは中国が決定的に優位
マネーポストWEB