「上場廃止は免れたとしても、資産の大幅な毀損は覚悟しなければならない。なによりも、傷ついた東芝ブランドを立て直すのは容易ではなく、事業の見直しや整理を迫られる可能性が高い」(前出・全国紙記者)
経済誌『月刊BOSS』編集委員の関慎夫氏は、こんな予測をする。
「これまで東芝は他のメーカーが苦しんでいた時期でも、テレビやパソコンなど消費者向け家電事業が好調でした。しかし、それもすべて粉飾だったとすれば今後の利益確保は難しいでしょう。
そもそも近年は一般消費者向け製品から、電力・社会インフラ整備や空調事業、半導体など電子デバイスといったB to B(企業間商取引)に軸足を移しています。そう考えると、テレビ、パソコン、白物家電といった消費者に馴染み深い東芝製品は、事業撤退や他社への売却などが進んでいくかもしれません。
東芝はかつて資本提携していた米GE(ゼネラル・エレクトリック)の経営手法を模して、日本で最も早く『選択と集中』を掲げた会社。過去のしがらみに取りつかれた上層部を一掃したいま、再び稼げる事業に特化した経営ができるかどうかは次の経営陣にかかっています」
新経営陣ならびに不正会計の対応策についての発表は、8月中旬を予定している。日本企業全体にコーポレートガバナンス(企業統治)の重要性が叫ばれる中、その模範とされてきた東芝ゆえに、“偽りなき経営改革”の行方が厳しく問われることになるのは間違いない。
●撮影/横溝敦