「ウコンやショウガ、オールスパイス、クローブ、ナツメグなどに含まれる成分には抗菌作用や抗酸化作用があるなどの報告もあります。活性酸素は体をさびさせ、老化させますが、抗酸化作用のある成分を摂ることで、生活習慣病を軽減することに役立つかもしれません。ただし、こうした作用はスパイスに含まれる特定成分によるもので、人が食品としてスパイスをどのくらい食べれば効果があるかはまだ明確ではありません」
酷暑が続き、食欲も減退しがちなこの時期、カレーのスパイスの香りは食欲増進させるためにも活用できると、南さんはアドバイスする。
「スパイスはもともと漢方薬のようなもの。ショウガや唐辛子は、日本の食養生でも消化を促したり体を温めると言われています。暑いと、どうしてもアッサリしたものばかり食べがちですよね。夏バテしやすい時に、手軽なカレー粉を使って上手に食欲を高めて、いろいろな食材の食べ合わせにうまく使うといいですね。カレー粉には元気の出るニンニクも使われているので、夏バテ防止に適していると思います。
子供が好まない乾物食材も、カレー粉を使うことで食べやすくなりますよ。例えば豚肉と切り干し大根をカレー粉で炒めたりすると、抵抗なく食べてくれます。私がよくやるのは、サラダのドレッシングをマヨネーズがわりにヨーグルトとカレー粉を使うと塩分控えめでも旨味もついて、マヨネーズよりも低カロリーにもなるのでおすすめです」
抗酸化作用、皮膚炎の殺菌効果が報告されているウコンは、インドでは、ニキビや吹き出物のケアや日焼け止めとしても古くから使われているという。
過去には、脳科学者の茂木健一郎氏が、天才数学者を多数排出しているインド人の知能の良さには、伝統食のカレーと因果関係がある可能性を指摘。実際、カレーが脳に与える影響を実験した結果、ストレス抑制、疲労度軽減、IQがアップしたとも。
美容にも脳にもいいとされるカレー。こうなると積極的に食べたくなるが、ただし、いくら体に有効といわれても、過剰な摂取は害になることもあるのでご注意を。健康にいいとされるウコンも、取り過ぎによる肝機能障害が懸念されている。カレーダイエットも、油分が多かったり、ごはんやパンなどの炭水化物を食べ過ぎれば太ること間違いなし。市販のレトルトカレーは油分も多いため、できればカレー粉で調理するのが良さそうだ。
露出が増えるこの季節、ダイエットはしたいけど夏バテはしたくない。疲労を軽減してくれて、ぼ~っとしがちな頭と体を目覚ましてくれるカレーは夏にぴったり。カレースパイスに力を借りて、元気に残暑も乗り切りたい。