治療にあたっては、まずCTなどで唾石の位置や大きさを確認する。5ミリ未満であれば、内視鏡による治療を選択する。顎下腺唾石の場合、舌の裏側中央のひだの両側にある、直径1ミリほどの排出管の穴を拡大し、そこから内視鏡を挿入して唾石をカンシなどでつかみ、取り出す。唾石が大きい場合は、砕いてから取り出すこともある。内視鏡で摘出できない大きな唾石の場合には、口の中を切開してから唾石のみを摘出する。
「顎下腺の中に唾石がある場合は、顎下腺ごと摘出するのが標準治療ですが、私はできるだけ口の中から唾石のみを摘出し、切開した部分を口の粘膜で縫うことで唾液の新しい出口(バイパス)を作るようにしています。唾液は身体にとって大切なので、可能な限り、唾液腺を取らずに、機能を残す方法で治療しています」(岩井助教)
手術は2泊3日の入院で行なうが生体に吸収され溶ける糸を使用するので抜糸の必要がない。小さな唾石や排出管が狭窄(きょうさく)している場合は外来で日帰り治療を行なう。この施設では、年間200例程度の唾石の治療を行なっている。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2015年9月11日号