国際情報

VW不正問題の追及に中国が消極的な理由 消費者からは不満も

「Das Auto」とは「The Car」という意味のVWのブランドスローガン

 モータリゼーションが急速に進む中国においても、VW不正問題は重大なイシューのはずだ。だが、追及の姿勢はさほど盛り上がっているわけではない。情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 フォルクスワーゲン(VW)が違法ソフトウエアを使って排ガス規制を不正に逃れていた問題が世界を揺らしているが、この問題はVWグループの別ブランドであるアウディやポルシェのイメージまでをも損なうというだけでなく、ディーゼルエンジン車のすべてに対する大きなダメージにとなって自動車業界に重くのしかかっている。

 なかでもかねてからVW車の躍進が伝えられてきた中国市場の反応には注目が集まっていた。

 VWの不正が明らかになっても、中国は当初、VWに対して即座に厳しい対応を採ることはなかった。その理由は、中国国内で販売されたVWのディーゼルエンジン車は、そのほとんどがトラックで、台数的にも問題は大きくないと考えられたからだった。だが、一方で、中国進出30年超というVWが中国政府との間に築き上げた蜜月関係によって政治的な配慮がされたのではないかという不満も中国の消費者からは聞こえてきたのだった。

 VWの2014年度の中国市場での売り上げは367万台で、トヨタ(103万台)を大きく引き離していることからも中独の距離の近さは指摘されてきた。

 だが、中国がこの問題に消極的なのは、ドイツとの特別な関係ばかりではないと語るのは、経済誌の記者だ。

「何といっても中国の国内自動車メーカーに適用されている基準がいい加減だというのは周知の事実ですから……。そのことは北京の中関村空気汚染防控聯盟で馬哈貿易有限公司の修春林社長が公開した資料で明らかでしょう。

 多くのメディアで報じられたその資料によれば、『国内の自動車が提出している排ガスに関するデータは、その80%がニセモノ』だというのですから。まあ、要するにVWのことを非難できないというわけですね」

 思わぬところにVWの応援団がいたというわけだ。

関連キーワード

トピックス

事業仕分けで蓮舫行政刷新担当大臣(当時)と親しげに会話する玉木氏(2010年10月撮影:小川裕夫)
《キョロ充からリア充へ?》玉木雄一郎代表、国民民主党躍進の背景に「なぜか目立つところにいる天性の才能」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン