――狙われやすいのは、フランステロのようにライブ会場やレストランなど人が多く集まる場所か。
大泉:そうです。テロ集団は一人でも多くの被害を与えることが目的なので、人口密集地を狙う。日本でいえば首都の東京です。また、劇場やホールなど「密室」で大人数が集まるところは、昔からテロの標的になりやすい場所と言われています。今回のように多くの人質を取りやすいことがその理由です。
――日本ではテロ対策強化策として、イベント会場の手荷物検査などは厳しくなっている。
大泉:いくら会場の入口で手荷物検査を強化しても、フランスのように外から侵入、襲撃されれば意味がありません。
――では、どうすればいいのか。
大泉:テロは“見えない敵”。どこからどう襲ってくるか分からないため、完全に防ぐことは難しいと思いますが、日本のようにマニュアル型の警備・治安対策ではテロ集団の思うつぼです。
まずは、不審者の身体検査を強化できるようにするとか、化学薬品の取り扱いを厳しくするなど、法的な面の洗い直しをする必要があります。そして、国民も街中でもっと目を光らせ、不審者や不審物に警戒するような意識を持たなければなりません。人を疑わない国民性は日本人の良い点ではありますが、これだけ世界中の治安が悪くなる中、日本も決して安全な国ではないのです。
来年は伊勢志摩サミットがありますし、2020年には東京五輪もあります。国際的なイベントはテロ組織にとって存在感を見せつける格好のターゲットになり得ます。日本は今後、いかにテロ対策でソフトとハードの充実を図ることができるか――。大きな課題を抱えたままといえるでしょう。