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縄文時代ルーツの「どっぽ鍋」 ホルモンパワーを現代に蘇生

食文化史研究家の永山久夫氏

 内閣府の調査(「食育の現状と意識に関する調査」平成21年12月)によると、家族との食事について「家族と一緒に食事をすることは重要」が94.3%、「家族と一緒に食事をすることは楽しい」が91.0%。であれば、この時期、鍋しかないでしょ! ひとつ鍋を囲むおいしさは格別。食文化史研究家の永山久夫氏が勧めるのが「縄文どっぽ鍋」だ。永山氏が語る。

 * * *
 縄文人は究極の自由人だ。

 空腹になった時だけ、石斧をとればよいハンターだ。竪穴住居のいろりに土器をかけ、肉や魚を焼き、熱灰でソバ粉のおやきを作る。蜂蜜などで味をつけた甘いクッキーもあり、女性たちが目がない。炉のそばには、山ブドウを発酵させた、まっ赤な縄文酒もある。

 最近、認知症予防期待からオメガ3系の脂肪酸が注目されているが、縄文人の好きなクルミにもたっぷり。オメガ3といったら、何といっても魚で、こちらも縄文人は大好き。

 アワやソバなども作っていたが、栽培よりも狩りの方を好んだ。イノシシを追いかけた方が血が躍るし、肉は何よりもうまい。体のはしまでパワーが行きわたって疲れない。

 縄文の次が弥生時代で、例の邪馬台国が登場。当時の日本人は大変に長生きと『魏志倭人伝』にあり、一夫多妻ともある。

 倭人の先祖様のほとんどは縄文人だから、縄文人も不老長寿で多妻傾向があったのではなかろうか。それを可能にしたのはテストステロン(男性ホルモン)で、縄文食をとっている限り、多妻も多恋人も可能だった筈だ。

 イノシシ、シカ、キジ、カモ、サケ、イワシなどに雑穀、トチの実、ゴボウ、山芋などが主な縄文食であり、ホルモン生産を強化する成分の多いものばかり。

 さア、おとうさん。

 縄文どっぽ鍋を作りましょう。「どっぽ」はどぼどぼと材料を鍋に入れて作るという意味と、人生独歩、自由気儘という意味もあり、縄文的ホルモンパワーを現代に蘇生させるということだ。もちろん、今風にアレンジ。

 土鍋に昆布を敷き、水に少量の酒を加えて火にかけ、骨つき鶏肉のぶつ切り、豚肉、ゴボウ、シイタケ、ハクサイ、ネギをどぼどぼと入れ、煮立ちはじめたら、ソバ粉にひき肉と生卵を混ぜて縄文だんごを作り入れる。

 熱が通って出来上がり。つけ汁はみじん切りのニンニクと醤油、酢であんばいし、豪快に頬張る。さア、縄文どっぽ鍋の完成です。

 おとうさん、食べましょう。

●縄文どっぽ鍋(2人分の材料と分量)
・ぶた肉(200グラム)
・骨つきトリ肉(4片)
・ネギ(1本)
・ゴボウ(ほどほど)
・シイタケ(3個)
・ハクサイ(ほどほど)
・昆布(5センチ)
・みそ(ほどよく)
・縄文だんご(そば粉、生卵、トリひき肉)

※週刊ポスト2016年2月12日号

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