「握り寿司を食べたいけれど、注文が煩わしい、恥ずかしいというお客側。廃棄ロスが限りなくゼロに近く、レーン設置よりも客席を多くできる店側。双方のニーズが合致した結果、“無回転”寿司が普及してきています」(米川氏)
この形態の店舗は、スタイリッシュな内観も手伝って、女性のひとり客を取り込むことにも成功している。また、タッチパネルの利便性は外国人にも好評。『かっぱ寿司』のブランドである『鮨ノ場』のように、都市型にセグメントしたお店も目立ってきた。飽和状態の郊外から駅前立地に目を向ける業界にとって、救世主ともいえそうだ。
「昔、駅前にあったのは10~15坪の粗悪な回転寿司店で、“安かろう悪かろう”の元凶となっていた。郊外型が大ヒットした後、そんな駅前店はほぼ廃れたのですが、郊外が飽和状態になった今、各チェーンが次の商圏として再び駅前に狙いを定めているわけです。駅前店はレーンを入れるだけの広さがないことも、“無回転”の導入を後押ししています」(米川氏)
“無回転”は、駅前回転寿司の復活のカギでもあるのだ。
※週刊ポスト2016年4月15日号