ホームは「欄干のない橋」「柵のない絶壁」とよくいわれるが、視覚障害者にとっては、まさに死と隣り合わせの場所。だからといって電車に乗らないというのは、人間としての自由に生きる権利を、自ら放棄することに等しい。

 余計なモメ事には巻き込まれたくない。無関心であるほうがいい──この現代社会では、そんな風潮ができあがってしまっている。しかしもう、そんな無関心はやめにしませんか。

「いろいろ言われていますけど、品田さんはあえて線路側を歩いていたんじゃないでしょうか? ワッフルが線路に落ちたら大変だって、ワッフルを守るように線路側を歩いたんじゃないかって…。そんな気がしてならないんです」(前出・品田さんの知人)

 いつも注意深く、自分のことよりも周りの安全を優先させていた品田さん。青山一丁目駅という危険な場所で、ワッフルに対して保護者のような思いだったのだろうか。

「ワッフルは品田さんの葬儀を終えて、ここ、北海道盲導犬協会に帰ってきました。今後も盲導犬として活躍するかは、ワッフルの年齢や相性の合うかたがいるかということもありますからわかりませんが、一生、人のそばで暮らします。先日、品田さんのご家族からお電話をいただきました。“ワッフルはとてもいい子でした。今までありがとうございました。これからもワッフルをよろしくお願いします”とおっしゃっていました」(和田さん)

 線路側を歩いていた品田さん。急いでいたのか、危険だといわれているはずの、ホームでの移動が、この日の防犯カメラにはしっかり写っていた。自宅では、家族がアイスケーキを用意して、この日誕生日を迎えた主役の帰りを待っていたという。

※女性セブン2016年9月15日号

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