「あの頃は人が多すぎて、私たちも大変でした。事務所からちょっと外に出ただけなのに、人に揉まれて一日中戻れなくなったり…あの頃来たかたは、ゆっくり動物を見ることができず、『二度と来ないぞ』と思ったんじゃないかな」
実際、何度も訪れているという地元の男性は、「当時は1つの展示を見るのに50分待ちは当たり前。地元ではみんな、『混むから行きたくない』と言ってました。だから今くらいが見て回りやすいし、家族で出かけやすい」と証言する。
また入園者数の急増は、実は動物のストレスを引き起こすこともある。特に、いっぺんに多くのカメラのフラッシュを浴びるのは、動物にとって大きな負担になるという。
「当時の動物たちは、なんだかいつもぐったりしていました」(前出の地元男性)
『旭山動物園』と並び、北海道の2大動物園といわれる札幌の『円山動物園』も、夏休みの家族連れでにぎわっていた。ただ、動物たちは暑さのせいなのか、旭山の動物たちと比べると、どこか元気がなく気だるげだ。
札幌市在住で同園を何度も訪れている女性に聞くと、「夏の間に夜、動物園を解放する“夜の動物園”や新規施設へ移動したことが、動物にとってかなりのストレスだったのかもしれませんね」と心配そうに話した。
実はこの“ストレス”、死につながる可能性もあるのだ。『円山動物園』ではストレスが原因とも言える動物の死亡事故が相次いで起こっている。2015年7月、マレーグマの雌(推定30才以上)が、同居していた5才の雄に執拗に攻撃されているのを、観察していた飼育員が「深刻な状況ではない」と判断し、放置したことから死亡。その死は虐待死と報じられた。
翌月にはシマウマが、新設された「アフリカゾーン」への引っ越しで死亡。相次ぐ動物の死亡事故は世界でも大ニュースとなり、市の動物管理センターが立ち入り検査をするなどの事態に発展した。
動物園側は、「比較的新しい施設で起きているので、今後新しい施設を作るときは設計に充分な検討と検証を行う」「飼育員の数を増やし、専門職にも門戸を開く」など改善策を打ち出し、再発を防ぐべく、事に当たっている。
※女性セブン2016年10月13日号